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トランプがロシアゲート疑惑で「クロ」と判断されれば、何が起こるか

2/12(火) 7:00配信

現代ビジネス

今月末、報告書公表か

 中国との覇権争い、保護主義、金融・財政政策の他にも、米国には日本と世界の経済を揺るがせかねないリスクがある。2016年の大統領選挙で、当時のトランプ大統領候補の関係者らがロシアと不透明な選挙協力をしたのではないかとされるロシアゲート疑惑だ。その捜査報告書が、今月末にもまとまる見通しとなっている。

 この件に関して、トランプ大統領は毎日のように捜査を「魔女狩り」だと非難し、ホワイトハウスも防戦に躍起だ。が、昨年秋の連邦議会の中間選挙で下院の過半数を握った民主党は、問題の捜査報告書をきっかけに大統領の弾劾を発議しようと待ち構えている。

 過去の例から見て、もし、現実に弾劾手続きが始まれば、米国の政治・外交機能は事実上停止し、日本や世界の経済にも大きな影響を与えるリスクがある。その混乱は、この年末年始のアメリカを揺るがせたガバメント・シャットダウン(連邦政府機関の一部閉鎖)の比ではないだろう。

 捜査報告書の発表後に何が起きうるのか。月末まではまだ少し時間的な余裕があるが、今のうちに、ロシアゲート疑惑の捜査状況と影響についてポイントを整理しておきたい。 

2つの疑惑

 まずは、ロシアゲート疑惑の概略だ。疑惑は大別して2つあり、その1つは「共謀疑惑」である。2016年のアメリカの大統領選挙で、トランプ陣営がロシアの支援を受けて選挙戦を有利に進めたのではないか、という疑いだ。そして、もう1つが「司法妨害疑惑」で、トランプ氏が共謀疑惑を巡る捜査を妨害したのではないか、という疑いである。

 両方の疑惑を捜査してきたのは、米司法省に「特別検察官」として任命され、百数十人と言われるスタッフを動員してきたロバート・モラー氏だ。同氏は1944年生まれで、法学博士の学位を持ち、2001年9月から12年あまりにわたって、FBI(米連邦捜査局)の長官を務めた。後述するが、モラー特別検察官は今年1月末までに、37個人・団体を起訴するなど疑惑の究明に奔走してきた。

 この時期に、モラー特別検察官がまとめる予定の捜査報告書が注目を集めているのは、マシュー・ウィタカー米司法長官代行が1月28日、記者団の質問に答える形で、2016年の大統領選挙を巡るロシア疑惑の捜査が「間もなく結論に達するだろう」とコメントしたからだ。アメリカに限らず、当局のトップが捜査の進捗状況を明かすのは異例のこととあって、トランプ大統領寄りとされるウィタカー氏が疑惑の幕引きを急いでいるのではないかと批判されるきっかけにもなった。

 このため、今月8日の下院司法委員会の証言で、民主党議員らにモラー氏の捜査に関する発言の趣旨を問われ、ウィタカー氏が「私はいかなる形でも介入していない」「モラー氏は彼が終えたい時に捜査を終結できる」と釈明に追われる一幕もあった。が、いずれにせよ、1月28日の発言が、今月末までにモラー特別検察官が捜査報告書を提出するという観測の有力な根拠になっている。

 2つの疑惑のうち、「共謀疑惑」は、2016年の米大統領選で、大統領候補だったトランプ氏の陣営がロシアと共謀して選挙戦に干渉したのではないかというものだ。この疑惑の大きなポイントは、トランプ陣営の選対本部が置かれていたニューヨーク市のマンハッタン島のトランプ・タワーで、選挙期間中だった2016年6月9日に行われた会合だ。

 会合には、トランプ陣営からトランプ氏の長男ドナルド・ジュニア氏、トランプ氏の娘婿であるジャレッド・クシュナー氏、当時選対委員長だったポール・マナフォート氏の3人が、仲介役としてジュニア氏の知人で音楽広報業のロブ・ゴールドストーン氏が、ロシア側からロシア検察に虚偽文書作成を依頼できるほどロシア政府に近いとされるヴェセルニツカヤ弁護士や通訳を含む4人が出席したとされる。

 ニューヨーク・タイムズ紙の報道などによると、会合の目的は、ロシア諜報機関が収集したライバル候補のヒラリー・クリントン氏に関する「汚れた情報」を共有することにあり、すでにジュニア氏もこの事実を認めている。

 また、同席者のマナフォート氏もすでに昨年9月、国家に対する謀略などの罪で有罪を認めた。その後、FBIが昨年11月になって、司法取引に違反してモラー特別検察官に虚偽の証言をしたと、検察が裁判所に書面を提出する騒ぎもあり、トランプ氏本人がロシア側と何らかのかかわりを持ったかどうかについて厳しい尋問を受けているとみられている。

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最終更新:2/12(火) 7:00
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