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北朝鮮が韓国に「対日共闘」を呼びかける理由

2/12(火) 6:00配信

ダイヤモンド・オンライン

● 北朝鮮が韓国に “対日共闘”を呼びかけ

 2月4日、北朝鮮が運営するサイト“わが民族同士”は、韓国海軍駆逐艦による海上自衛隊哨戒機へのレーダー照射問題を取り上げ、日本政府の対応を非難した。その上で北朝鮮は、韓国に“対日共闘”を呼びかけた。

 北朝鮮の真意は、韓国の窮状に付け込むことのように見える。北朝鮮は韓国の反日世論を揺さぶり、対日共闘を組むことで自国の立場を有利にしたいと考えているのだろう。

 見方を変えれば、北朝鮮に足元を見られるほど韓国の情勢悪化は深刻ともいえる。

 経済面では、半導体の輸出によって経済成長を支えてきたサムスン電子の業績が急激に悪化し始めた。外交面でも孤立感が深まっている。中国は北朝鮮の庇護を強めている。北朝鮮としては中国との関係を強化しつつ、米国との交渉を進めればよい。加えて、米国のトランプ大統領にとって北朝鮮政策は点数稼ぎの手段だ。韓国国内では文大統領の支持派と保守派の対立が激化している。

 文大統領としてはわが国への非難を強め、北朝鮮との関係強化を材料にこの窮状を脱することを考えているだろう。北朝鮮はうまくそれに付け入った。

 ただ、この状況が続くと、韓国は極東地域にとどまらず国際社会の中で孤立を深めることが懸念される。それは、北朝鮮をさらに勢いづかせる恐れがある。

● 勢い増す 北朝鮮の体制維持策

 北朝鮮は、体制の維持と強化のために米国などから有利な条件を引き出そうとしている。その勢いは増しているように見える。背景には、米国のトランプ大統領が、外交面での成果を誇示し有権者からの支持獲得(点数稼ぎ)を重視していることがある。

 2020年の大統領選挙に向けて、トランプ氏は北朝鮮の非核化への取り組みを進めたという成果を世論に示したい。トランプ政権は北朝鮮が非核化への具体策を示すなら、譲歩する考えさえ示し始めた。金正恩委員長とってこの展開は、「してやったり」だろう。

 昨年6月の米朝首脳会談を控え、金委員長は米国に「会談実現」という一種の成果を持たせた。

 引き換えに、北朝鮮は体制維持の保証を取り付けた。それがあったからこそ、会談前夜、満面の笑顔でシンガポール市内に金委員長は繰り出すことができた。米国が北朝鮮に見返りを検討し始めた今、金委員長の高笑いが再び聞こえるような気がする。

 歴史や専門家の見解などをもとにして冷静に考えると、北朝鮮が核兵器を放棄することは考えられない。北朝鮮の金一族にとって核兵器の保持は、体制維持の“お守り”だ。金委員長は、核兵器を放棄すればリビアのカダフィ政権のように独裁体制が倒される可能性が高まることも理解している。

 こう考えると、トランプ氏の対北朝鮮政策は不安だ。

 すでに、米国内でもトランプ氏の北朝鮮政策への懐疑あるいは不安が高まりつつある。コーツ米国家情報長官が北朝鮮による完全な核放棄の公算は小さいとの見解を示したことは、そうした不安の表れである。

 トランプ大統領が点数稼ぎに目を奪われている時こそ、金委員長にとってはチャンスだ。体制維持の時間を稼ぐために、金委員長は中国との関係を強化してきた。貿易戦争で米国との関係が冷え込む中国としても、緩衝国である北朝鮮を庇護し、朝鮮半島への影響力を強めておきたい。

 2月に入り、北朝鮮はわが国が遭難した船員の帰国を調整したことに謝意を表した。数年前であれば、こうした北朝鮮の姿勢は想像できなかった。現在の北朝鮮には各国に“いい顔”をするだけのゆとりができたということだろう。

● 韓国の窮状の利用を 画策する北朝鮮

 中国の後ろ盾を得た北朝鮮は、日本を非難するプロパガンダを流し、文政権を揺さぶろうとしている。この背景には、韓国の内情がかなり厳しくなっていることがある。

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