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春節の中国で「習近平新時代」を実感、河北省の田舎町を行く

2/12(火) 6:01配信

ダイヤモンド・オンライン

 春節の大みそかの前夜、19時30分ごろ北京西駅に到着した。黄金色にライトアップされた伝統ある駅の正面玄関前には1つのスローガンが掲げられていた。

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 「永遠把人民対美好生活的向往作為奮斗目標」ーー。

 「永遠に人民の豊かな生活への追求を奮闘の目標とする」を指す。新鮮さに欠ける、聞き慣れた常套句だ。

 このスローガンの主語は誰か。

 9000万人以上の党員を抱える中国共産党である。同党の首長であり、中華人民共和国の最高指導者である習近平は、2017年秋に開催された党の19回大会で行った談話で、「中国の特色ある社会主義が新時代に突入した今日、我が国社会の主要な矛盾は、人民の中で日増しに増加する豊かな生活への需要と不均衡で不充分な発展の間に存在する矛盾へと転化している」と主張している。

 スローガンがその延長線にあることは容易に理解できた。中国は「文字の国」である。そこにどれだけの誠実さや真実性が隠れていようとも、中国共産党は自らの政策や考慮を文字にして、談話の中のエッセンスとして忍び込ませたり、道端や駅の前にスローガンとして掲げたりする。そういう文字は至るところに存在する。どこに行ってもそういう文字が可視化されている。

 だからこそ中国を理解することには骨が折れる。辛抱強く自分なりの“現場”に足を運び、愚直に己の中国観の形成に奔走すべきゆえんがそこにあるのだ。

● “民族大移動”が展開される春節 拳銃を保持した武装警官が巡回

 延べ30億人の“民族大移動”が展開される春節(2019年は2月5日)の時期だからであろう。駅の中ではこれまで見たこともない数の、拳銃を保持した武装警察が巡回し、人民たちの一挙手一投足に目を光らせていた。ある乗客が入ってはいけないエリアに入ろうとすると、ジェスチャーでそれを伝える。

 彼らは安易に言葉を発しない。

 セキュリティーチェックポイントや駅の要所では普通の警察が一部乗客に声をかけ、身分証の提示を求めていた。それを写真に撮り、データとして専門の機械に吸い取っていた。習近平政権下で強化されてきた全国各地・全社会に張り巡らされた監視機能の一環であろうか。私の隣にいた1人の中国人が提示を要求された。3分ほど待って身分証が返されたが、先方からは「ご協力ありがとうございました」という類いの謝辞は述べられなかった。

 中国社会で生きていく上で直面する“日常”がそこにあった。

● 河北省保定市に直属する 人口30万人強のS県で過ごす

 高速鉄道に乗って南西に約40分。保定東駅に着いた。今年の春節は河北省保定市に直属する人口30万人強の某県(以下“S県”。中国の「県」は概ね日本の「町」に相当する)で過ごす。駅を出て駐車場に向かおうとすると、道端に「打黒」、すなわち黒社会・勢力撲滅運動の強度をピークに持っていくことを謳う文字がスローガンとして掲げられていた。

 それを眺めながら、筆者は約8年前に訪れた重慶市、そこで面会した薄熙来・前同市共産党委員会書紀、前政治局委員を思い出した。当時重慶では薄熙来が大々的に掲げ、推し進める「打黒唱紅」というスローガンの下、黒社会・勢力に次々にメスが入り、“文化大革命”時代を彷彿(ほうふつ)させるような毛沢東万歳が学校や広場など至るところで“合唱”されていた。その後、その政治手腕や思惑、腐敗や犯罪への関与などが問題視された薄熙来は失脚することになる。

 保定の田舎で数日間過ごすなかで、私は幾度となく“打黒”を掲げるスローガンを見かけることになるのであるが、その度に、薄熙来のあの殺人鬼のような目と乾ききった手のひらを思い出さずにはいられなかった。自分がいま現在身を委ねている“新時代”に入った中国が、まるで薄熙来という亡霊に取りつかれているかのように感じられた。

● S県はどこにでもある 標準的な地方の田舎

 S県は中国でどこにでもある標準的な地方の田舎である。町の中心部に約3万人、それ以外の農村部で約27万人が暮らす。町には2、3の中型ショッピングモールや海外ブランドをコピーしたような名前の飲食店が並ぶ。

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