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悲愴をユーモアに変容する哲学を始めようvol.2

2/13(水) 8:03配信

Meiji.net

悲愴をユーモアに変容する哲学を始めようvol.2

合田 正人(明治大学 文学部 教授)

いま、哲学が注目されているといいます。急激に発展するAIやITの技術によって社会が変革され、一方で心理学や社会学が注目されてきた中、なぜ、いま哲学なのか。それは、既存の土台に対する不安や懐疑を払拭するための考え方が求められているからでしょう。

◇日本の端っこの沖縄は東アジアの中央にあって、異質なリズムを育む

例えば、端っこというものを考えてみましょう。

端っことは、中心や中央から離れていて、非主流と思われがちです。

一般にはあまり良いイメージではないでしょう。

日本の地理でいえば、沖縄などはまさに端っこで、天気予報図などでは、沖縄だけ枠で囲まれて別扱いされることがあります。

ところが、沖縄の位置を正しく表わす図にして見ると、確かに日本の端っこですが、東南アジアや中国、日本の中央でもあることがわかります。

つまり、様々な地域の端境に位置しているわけです。

すると、日本の端っこである沖縄の方が、他の地域とネットワークしやすい位置であることがわかります。実際に、沖縄には、日本やアジアを結ぶネットワークのハブのように機能した歴史があります。

その結果、沖縄は、日本の中央とは異なる文化を培ってきました。それが顕著に表れるのが、リズムです。

沖縄の歌謡集「おもろそうし」の研究で知られ、沖縄学の祖といわれる伊波普猷(いはふゆう)氏は、沖縄の三線の間の取り方や、踊りなどの独特の展開やリズムの問題に行き着いています。

さらに、このリズムとは音楽のリズムだけでなく、日常のすべてに表れるリズムでもあります。

人間はリズム的な動物といわれますが、何時に起きて、何をして、どういう朝食を食べて、という自分自身も無意識に行っている生活の仕方もリズムであり、社会やコミュニティなど、ある集団によってつくられたリズムもあるし、自然の様々な変化によってつくられたリズムもあります。

意図的に訓練されたリズムもあるし、知らないうちに培われ身についたリズムもあるのです。

様々な要素が絡み合い、私たちの体はある特定のリズムで動いているわけです。

東京で暮らす人が沖縄に行くと、時間の流れ方が違うと感じることが多いというのは、沖縄が、多地域との活発なネットワークにより様々なリズムの影響を受けながら、沖縄独自のリズムを形成したからといえるでしょう。

端っこを些末なものとみなす既存の発想に対して、ちょっと視点を変えると、それは様々な地域の中央にあって豊かなネットワークを構築できるということに気がつきます。

そうした環境の中で生まれた沖縄の三線の独特の間やリズムは、東京のあくせくとした日常の中で思い返すと、フッと息をつくような、ある種の軽さをもたらしてくれるのではないでしょうか。

※取材日:2018年1月

次回:異質なリズムの排除が閉塞状況を生む(2月14日8時公開予定)

合田 正人(明治大学 文学部 教授)

最終更新:2/13(水) 8:03
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