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【独自】元スカイプジャパン社長が「プログラマー起業家」限定の投資ファンド設立 理系文系の分断に課題感

2/13(水) 10:00配信

Forbes JAPAN

元スカイプジャパン社長の岩田真一を代表とする、MIRAISE LLC(ミレイズ)が2月13日、プログラマー起業家に限定した投資ファンドを立ち上げると発表した。

なぜ起業家の中でも、「プログラマー」に特化するのか。ビジネスの専門家ではないプログラマーは、投資のリスクにならないのか。今回の投資ファンド立ち上げの狙いについて、Forbes JAPAN編集部は岩田に事前インタビューを行った。

岩田は元エンジニアで、起業家でもあった。近年は投資家としてヨーロッパのベンチャーキャピタルATOMICOのパートナーを務めている。多様なバックグラウンドをいかした岩田の次の挑戦は、天才プログラマー起業家のロールモデル化だった。

プログラマーは、投資リスクが低い

「『プログラマー起業家に特化する』とわざわざ言わないといけないこと自体が問題だ」と岩田は言う。シリコンバレーやヨーロッパのスタートアップ主要地域では、プログラマーが起業していること、あるいは優秀な天才プログラマーが社内にいることが投資の条件になることが当たり前だそうだ。

一方で日本の投資家には、金融系やコンサル出身者が多い。彼らは、普段最新のテクノロジーを追っているわけではないため、テクノロジーをみて面白いと思っても、それが「世界一」なのかどうかはわからない。プログラマー起業家を判断するバックグラウンドや知識に欠けている。その代わりにテクノロジーよりも、自分たちが得意とするビジネスモデルを判断基準として投資する傾向にある。

シード期にビジネスモデルだけで投資、リスク高い

しかし、「ビジネスモデルだけでシード期(起業の準備段階)に投資をすると、リスクが非常に高い」と岩田はいう。どんなビジネスモデルが稼げるかというのは変わりやすいため、ミレイズはリスクが少ないファンドであると岩田は考える。「プログラマーだったら、過去に作ったものを見れますし、(元プログラマーの経歴を持った)僕がそれを評価できる」。

「テクノロジーで世界一」が塗り替えられる可能性はないのだろうか。それもプログラマーの特徴でカバーできるのではないか、と岩田は考える。プログラマーはテクノロジーのトレンドに敏感だ。ビジネスパーソンは自分のビジネスに固執しがちだが、プログラマーは一生新しいテクノロジーに興味を持ち続けられる傾向にある。そのため、どのテクノロジーが最新で、どのテクノロジーが遅れているかを判断しやすい。

岩田は投資条件の一つに「自分のテクノロジーを愛しすぎていないこと」を条件に含めている。

スカイプでの経験が、プログラマー起業家の可能性に気づかせた

プログラマーは、たとえ畑違いのジャンルを扱っていても先端テクノロジーを知っていることで隠されたソリューションを見いだすことができる、と岩田はいう。それはスカイプでの経験が影響していた。

「当時IP電話が流行していて、電話会社は一生懸命システムをIP化することに注目していた。一方で、スカイプのエンジニアは『メール』に着目した。どんなに長いメールを送っても、どんなに遠い場所にメールを送っても、無料。メールのテクノロジーと同じレイヤーに通話のようなものを実装できればいいよね、と話し合って可能性を見出したのです。それがスカイプの始まりです。当時の電話会社はスカイプを発明できなかったし、フィンテックも銀行は思いつかなかっただろうと思っています。プログラマーにはそんな可能性があるんです」
--{「文系理系を分けた教育」に問題がある}--
なぜ「プログラマー起業家」は、日本に多くないのか

プログラマー起業家が世界で主流なのに、なぜ日本ではあまり多くないのだろうか。岩田は「文系理系を分けた教育」に問題があると指摘する。

「例えばアメリカでは、コンピューターサイエンスをとっている人が、経営学を一緒にとって、ダブルメジャーで卒業することが普通にある。その経験をいかして、起業することもしばしば。しかし、日本では文系と理系でキャンパスが違うこともある。理系分野に進むと、ビジネスは一生しない、あるいは怖い、と決めつけやすくなる。逆も然りだ。この分断が、プログラマー起業家の数を物語っている」。

しかし、実際にプログラマー起業家がいないわけではない。彼らは多くの場合、たらい回しにあって、駆け込み寺のように岩田のもとへ来ているという。岩田はプログラマーが起業すると思い立った時点でかなりリスペクト対象になると思っている。彼らを成功させて、ロールモデル化させることが今回の投資の狙いだ。

ミレイズの設立について、スカイプ共同創業者で岩田がパートナーを務めるATOMICOのCEO、ニクラス・ゼンストローム氏はコメントを寄せている。「世界で最も大きな成功を遂げている企業のいくつかは若きエンジニアによって創立されました。一方で投資家サイドは彼らをサポートできるほど大胆であるかということには疑問を持ちます」

すでに投資が決まっている企業は以下の通り

1. Pegara Inc.
GPU EATER というAI(機械学習・深層学習)の計算に使うGPUクラウドを提供。同社の技術を使って、比較的安価なGPUをクラウド化することで非常に安価で提供する事が可能になる。エンジニアCEOの市原俊亮さんと、天才プログラマのCTO中塚晶仁さんが設立したスタートアップ。

2. エストニアのAIスタートアップ

3. いまチカ
「AIでお店の経営をスマートにする」をミッションとしているテクノロジースタートアップ。ファウンダーは伊利夫(日本のエンジニア、起業家の1人)さんで、過去にイグジット経験もあるシリアルアントレプレナー。

プログラマー起業家を支えるメンター陣は以下の通り

坂本 孝治 - TBM 取締役COO
Zach Tan - PROWLER.io, 元Infocomm
三島 健 - JTB Web販売部戦略統括部長、元Expedia北アジアCEO
松村 映子 - 連続起業家
首藤 一幸 - 東京工業大学 准教授
海野 弘成 - Increments ファウンダー CEO
尾下 順治 - AXEL MARK CEO
佐々木 康弘 - Takram ディレクター, ビジネスデザイナー

岩田真一◎東京都八王子市出身。慶應義塾大学理工学部物理学科卒。ロータス、マイクロソフトにてソフトウェアエンジニアとしてキャリアをスタート。2001年、P2Pテクノロジーを開発するアリエル・ネットワーク社の創業に参加。その後Skype社に入社し、スカイプジャパン株式会社を設立、同社代表取締役となる。2012年、Skype創業者ニクラス・ゼンストローム氏が設立した欧州最大規模の独立系VCであるATOMICOに参加。同社パートナー。2017年、シリコンバレーのベンチャーキャピタリスト育成プログラムKauffman Fellows Programを修了しKauffman Fellowとなる。2018年MIRAISEを設立、同社CEO兼代表パートナー。東京大学先端科学技術研究センター客員研究員。産業技術大学院大学客員教授。未来スケープ代表。

井土 亜梨沙

最終更新:2/13(水) 10:00
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