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ブラジルでカマキリを続々発見、おそらく新種

2/17(日) 10:30配信

ナショナル ジオグラフィック日本版

立派な角をもつカマキリも、「カマキリ・プロジェクト」の成果

 南米ブラジルの沿岸部に広がる森林で、新種と見られるカマキリが次々に見つかっている。この地域の森は、20世紀のあいだにおよそ90%が失われてしまったが、十分な調査が行われておらず、世界屈指の生物多様性を誇ると考えられている。

ギャラリー:ブラジルで新たに見つかったカマキリたち 写真10点

 調査しているのは非営利団体「Projeto Mantis(カマキリ・プロジェクト)」の研究者グループ。ナショナル ジオグラフィックの支援を受け、この森を複数回にわたって調査、発見された新種と見られるカマキリは5~7種に上る。

 特に印象的なのは、頭に角のような不思議な突起をもつカマキリ。2017年のクリスマス直前、リオデジャネイロの北東にあるグアピアス生態系保護地域で見つかった。チームを率いていたレオナルド・ランナ氏によると、夜間に明るい照明で虫をおびき出したとき、光沢のある赤い脚と見事な一本の角を持つ手のひら大のカマキリが現れたという。

「あまりに立派な姿だったので、とても驚きました」とランナ氏は言う。これはZoolea属のカマキリだが、新種である可能性が高いという。よく似た角をもつカマキリは、これまでもいくつかの種が確認されているが、まだ知られていない新種もたくさんあると見られている。チームは新種かどうかを突き止める考えだが、それには時間をかけて博物館の標本と丹念に比較する作業が必要だ。

角は何のため?

 カマキリの頭に立派な角がついている理由ははっきりしないが、擬態のためではないかと考えられている。ランナ氏は、「シルエットをごまかすため」である可能性があるという。つまり、捕食者の目に入っても、獲物の頭ではなく、木の芽などの(食べられない)別のものに見せているのかもしれない。

 カマキリは身を隠すのがとてもうまい。ランナ氏らは、狙いを定めてカマキリを探すため、狭い範囲を明るく照らせる懐中電灯をもって夜の森を歩き回っている。

 研究者グループは、リオデジャネイロ近郊でも新種のカマキリを収集した。このカマキリについての論文は、ペルーのサン・イグナシオ・デ・ロヨラ大学に在籍するカマキリ専門家、フリオ・リベラ氏が中心となって執筆を進めている。リベラ氏は「Projeto Mantis」のチームとも連携して研究や調査を行っている。

 このカマキリもかなり大型で、頭の上に複数のこぶがついており、それが集まって小さな角のように見える。Vates属の新種と見られ、今まで主にアマゾンの熱帯雨林に生息すると考えられていた。現在、チームはこの新種の種名について検討している。

「こんな大きな昆虫がこれまで気づかれることなく生息していたなんて、とても信じられません」とリベラ氏は話す。

 新たに見つかったカマキリたちのなかで特に目立つ一種は、リオデジャネイロの西にあるかなり標高の高い草地で見つかった。ランナ氏によれば、「風の中で優雅に触角を動かしていた」という。赤とオレンジの色が特徴的なこの大型カマキリは、Coptopteryx属のカマキリに似ている。ただ、この属のカマキリは近隣の国の乾燥した低地で見つかることが多いので、こちらも新種である可能性が高そうだ。

 なお、研究のためにカマキリを殺している研究者もいるが、ランナ氏のグループは違うという。生きたまま放すか、飼育するか、死んでから採取するかのいずれかにしている。

 リベラ氏によると、カマキリは生態系の大事な一員であるのはもちろんだが、同時にカリスマ性をもっていると言う。大きな目、獲物を狙う独特なポーズ、そして華麗な一撃を加える前肢を持つカマキリは、人々の心をとらえて放さない。

「カマキリは、私たちの目を昆虫の世界に向けてくれます」とリベラ氏は言う。「そして、たくさんのことを教えてくれるのです」

文=DOUGLAS MAIN/訳=鈴木和博

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