ここから本文です

「高血圧パラドックス」って何 軽く見ると痛い目に

2/19(火) 10:12配信

NIKKEI STYLE

■米国は高血圧の診断基準をより厳しく

実は健康な人たちの上の血圧(収縮期血圧)を調べると、95%が88~147mmHgの範囲に入る。単純に考えれば147mmHg以上を高血圧と定義してもよさそうなものだ。しかし「大規模な疫学調査によると、上が140mmHgを超えると心疾患や脳卒中のリスクが2~3倍になることが分かっています」と楽木さん。そのため日本高血圧学会では「140 / 90」以上を高血圧と定義している。なお欧州やアジアなど、ほとんどの先進国が日本と同じ基準を採用しているという。

例外は米国。かつては世界基準の「140 / 90」だったが、2017年に「130 / 80」に下げて話題を呼んだ。その結果、約7200万人だった米国の高血圧患者数は一気に1億人の大台を超えることになった。

その根拠となった「SPRINT(スプリント)試験」によると、降圧剤を用いた治療で、上の血圧が140mmHg未満を目指した人たちよりも、120mmHg未満を目指した人たちのほうが明らかに心疾患による死亡リスクが低かったのだという[注2]。

「収縮期血圧の理想は120mmHg未満。どこから線を引いて高血圧と定義するかという問題で、米国は130mmHgに下げた。日本は、診断基準は140mmHgのまま行く予定です」(楽木さん)

日本高血圧学会は、2018年9月に総会を開催し、「高血圧の診断基準は変えないが、75歳未満の成人の治療の目標値は140 / 90から130 / 80に下げる」という方針案を発表した。これまでは高血圧の診断基準を下回ればOKだったが、これからはより理想に近いレベルを目指して治療することになるわけだ。

■死亡のリスク因子、高血圧は第2位

よく知られているように、高血圧は動脈硬化を進め、脳卒中、心疾患、腎臓病などを引き起こし、死亡リスクを高める。

[注1]診察室血圧値の場合。家庭血圧値の場合は135/85mmHg以上が高血圧と基準が異なる
[注2] N Engl J Med. 2015 ;373(22):2103-16.

2007年に日本人の死亡に関わるリスク因子を調べた研究によると、高血圧はタバコに続いてリスクの高さでは第2位だった。高血糖やアルコールよりも高く、年間約10万人が高血圧を主因とする病気で命を落としている。特に心血管病に関しては高血圧のリスクが圧倒的に高い[注3]。

つまり、高血圧は放っておくと命に関わる病気なのだ。「グレーゾーンならば食生活や運動など生活習慣の改善でいいと思いますが、高血圧と診断されたら降圧剤を飲むべき」と楽木さんはアドバイスする。高血圧の人が降圧剤を飲んで血圧を下げると、死亡リスクが低くなることに加え、認知機能の低下予防にもつながることが確認されている。

2/3ページ

最終更新:2/19(火) 12:15
NIKKEI STYLE

記事提供社からのご案内(外部サイト)

ライフスタイルに知的な刺激を。
生活情報から仕事、家計管理まで幅広く掲載
トレンド情報や役立つノウハウも提供します
幅広い読者の知的関心にこたえます。

こんな記事も読まれています

あなたにおすすめの記事

あわせて読みたい