ここから本文です

久保裕也の可能性は開かれたか? 「そこは応えられたかなあ」。新体制で得た手応え

2/21(木) 8:11配信

フットボールチャンネル

ニュルンベルクのFW久保裕也は、ミヒャエル・ケルナー前監督の下では出場機会を大きく減らしていた。しかし、新たに就任したボリス・ショメルス監督の初陣となった18日のドルトムント戦で先発。徹底した守備戦略の中で手応えを得るパフォーマンスを見せた。チームの1部残留に貢献することが出来れば、次の世界への扉は開かれるはずだ。(取材・文:本田千尋【ニュルンベルク】)

●『とにかく守備のところで見せてほしい』

 試合終了の笛が鳴った。スコアは0-0のままだった。にもかかわらず、スタジアムに詰め掛けた観衆は、まるで大勝したかのような喜びに沸いた。

 試合後、ボリス・ショメルス新監督は「私たちのチームが作り上げた試合にとても満足している。私たちは自覚していたよ。情熱を持って守備をしなければならないということをね」と振り返った。

 2月18日、冬の透きとおった夜に浮かぶマックス・モーロック・シュタディオン――。

 ブンデスリーガ第22節。1.FCニュルンベルクは、ホームにボルシア・ドルトムントを迎え撃った。最下位と首位の直接対決。12日、成績不振を理由にミヒャエル・ケルナー前監督は解任となった。代わって就任したばかりのショメルス監督にとっての初陣は、つまり1部残留を信じるニュルンベルクにとって重要な一歩である。

 この転換期の中で、久保裕也は、再びチャンスを掴んだ。ドルトムント戦で久保は、[4-1-4-1]の布陣の右サイドで先発。シュメルス監督からは、「とにかく守備」を求められたという。

「相手もドルトムントですし、僕らがボールポゼッションをする時間はかなり短いっていうのが試合前から分かっていました。『とにかく守備のところで見せてほしい』と、監督から言われていて、それを今日はすごく意識はしました」

 そう振り返る久保の言葉からは、CLクラスの相手に圧倒的な劣勢を覚悟しながらも、なんとか勝ち点をもぎ取ろうとするニュルンベルクの覚悟が伝わって来る。

●ハードワークでもぎ取った勝ち点1

 試合が始まると、久保は、チームメイトたちと共に守備ブロックを構築しながら、例えば対面する敵の左SBアブドゥ・ディアロにボールが渡れば、積極的にプレスを掛けて行った。監督に求められたことに対して忠実に、ハードワークを惜しまない。

 ニュルンベルクがボールを奪い、久保に渡ったとしても、ドルトムントの選手たちを相手にキープすることは難しかったが、この試合で最も大切なことは「失点しない」ことだった。攻撃面で貢献するかしないかは、さほど重要ではなかった。

「もうとにかく、失点しないっていうことが大事でした。攻撃のことは『とにかく裏に行け』っていうのを言われていましたけど、そのパワーもあまりなかったですし。でも、とにかく失点しないのが一番大事だった」

 ドルトムントを相手に必死で守備をした久保。ラファエウ・ゲレイロ、ディアロに右サイドから決定的なチャンスを作らせることはなかった。前半の途中からポジションを左サイドに移したが、変わらずハードワークを続けた。

 後半に入ると、ニュルンベルクの監督、選手たちが「僕らがボールポゼッションをする時間はかなり短い」と予想したとおり、ドルトムントが圧倒的にボールを支配。ニュルンベルクを自陣に押し付ける。

 だが、主将のマルコ・ロイスを欠き、5日前にウェンブリーでトッテナム・ホットスパーを相手に0-3で大敗したドルトムントは、精彩を欠いた。前半戦の躍動が嘘のように、崩しのアイディアがまるで無い。

 GKクリスティアン・マテニアも好守を見せ、息の詰まるような4分間のアディショナルタイムを凌ぐと、ニュルンベルクは、ドルトムント戦を0-0のドローに終えた。監督交代直後の初戦で、相手が首位チームであることを考えれば、勝ちに等しい結果だった。

●次の世界への扉を開くために

 85分間プレーした久保は、試合後、次のように振り返った。

「『とにかく守備的なことで、とにかく勝ち点を取ろう』っていう話でしたので、監督がやりたいことはできたかなあと思います。勝ち点を取れたので良かったですね。残留するためには、とにかく僕らは勝ち点1でも積み上げていかないといけないので、その1歩前進かなあっていう感じはします、今日は」

 安堵、とまでは行かなくとも、チームの出来に、自身のパフォーマンスに、少なからず手応えを得たようだ。

「試合の最初から、守備でとにかく貢献しました。監督もそれを求めていたので、そこは応えられたかなあと思います」

 この試合の結果だけを持って、久保が先発の座を再び確保した、とまでは言い切れないだろう。しかし残留を目指すチームが、守備的なサッカーを選択せざるを得ない中、ドルトムント戦でのパフォーマンスを鑑みれば、久保はショメルス監督の中で貴重な戦力としての信頼を勝ち得たはずだ。

 残りの後半戦の戦い方について、久保は次のように考えている。

「このチームは、今、極端に守備を重点的に置いています。そこに自分も合わせていきながら、チャンスを伺うしかないかな、って思います。今のチームは相手によって常に戦い方を変える。それで自分がどういう役割になるかで、毎試合毎試合どういうチャンスがあるか、っていうのを考えながらやっていきたいなと思います」

 目標ははっきりしている。

「チームが残留することが一番なので、そこに向かって、とにかく勝ち点を積み重ねてやっていければ、と思います」

 ニュルンベルクが残留するために、全てを賭けてプレーを続ければ、自ずと次の世界への扉が開くはずだ。

(取材・文:本田千尋【ニュルンベルク】)

フットボールチャンネル

最終更新:2/21(木) 8:11
フットボールチャンネル

記事提供社からのご案内(外部サイト)

こんな記事も読まれています

あなたにおすすめの記事

Yahoo!ニュースからのお知らせ