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山田洋次、蓮實重彦、町山智浩、宮台真司らが絶賛 イーストウッド『運び屋』著名人コメント

2/22(金) 12:04配信

リアルサウンド

 3月8日公開のクリント・イーストウッド監督・主演最新作『運び屋』に、各界著名人が絶賛コメントを寄せた。

90歳ながらメガホンをとるイーストウッドの近影

 本作は、イーストウッドが自身の監督作としては『グラン・トリノ』以来、10年ぶりに主演を務めた実話を元にしたサスペンス。巨大な麻薬組織で、最大300キロ、13億におよぶ巨額のドラッグを運んだ“伝説の運び屋”で、孤独な老人アール・ストーンの姿を描く。

 現在87歳で、12月には最新作『男はつらいよ お帰り 寅さん』の公開が控える山田洋次監督は、本作について「この主人公は、寅さんみたいな人かもしれない。ギャングまでが心を開きたくなる、素朴で愛嬌のある老人。人間はとても多様なんだということに気づかされる。『ミリオンダラー・ベイビー』以来の傑作でした」と語っている。

 アメリカ在住のジャーナリスト・町山智浩は、「イーストウッドは絶倫だ。米寿を迎えた今、さすがの許されざる者も枯れたろうと思ったら甘かった。『弾切れだと思ってるんだろう? 試してみるか、小僧!』というハリーの名ゼリフが蘇る!」と、『ダーティハリー』の名ゼリフを引用し、88歳にして現役の男を演じたイーストウッドに驚愕のコメントを寄せた。

 評論家の芝山幹郎は、「不敵で、上機嫌で、居心地のよい映画。怖さとおかしさの陰に、いきなり足をさらう深みが潜んでいる。さすがはイーストウッド。『許し』という難問に直面しても、悠々と進む帆船の姿を失わない。シンプルで謙虚な超人だ」と、軽快に描かれる運び屋の姿と、その背後にある物語の奥深さに魅せられ、監督の手腕を“超人”の言葉で表現。

 小堺一機も「作品に風格まで纏わせるイーストウッド監督の手腕にウットリする傑作!!」とその仕事ぶりを絶賛。明治大学名誉教授の越智道雄氏は「高齢化社会を生きる孤独な老人と家族の在り方、国境を越えて世界に蔓延するドラッグなど、社会性の高いテーマをもった実話を、イーストウッドはアウトローな男の『泥沼からの脱出劇』として仕上げた」として、アメリカにおける国境の壁問題など社会性の高い作品であることを示唆している。

 また、イーストウッドの俳優人生を重ねたように、自由奔放に生きる運び屋アール・ストーンに魅せられた漫画家の倉田真由美は、「子供の無邪気さと長く生きたものの老獪さ両方が混在する90歳、誰よりも自分勝手で正義の人でもないのに、どうしても応援してしまう」と語っている。

コメント一覧
相田冬二(映画評論家)
俳優イーストウッドを初めて抱きしめたくなった。
悠々とした素振りの奥底で小さな魂が震えてる。
かっこつけなきゃ男じゃない。でも、それはなんてさみしいことだろう。
虚勢と共にある孤独。これからもずっと続く余韻。

石川三千花(イラストレーター)
高齢ながら、仕事も女性も現役バリバリ。無骨だがユーモアは持ち合わせ、マイペースで怖いものなし。そして最後には自分で責任を取る運び屋。
これって、どえらい作品を世に送り続けてるイーストウッド本人と重なってる!!

宇田川幸洋(映画評論家)
こんなに、はじめからおわりまでゴキゲンな気分で見ていられる映画は、めったにない。美しき超老年ヒーローの誕生に、こころがおどる。

宇野維正(映画・音楽ジャーナリスト)
イーストウッドからの「次世代への遺言」だった『グラン・トリノ』。
あの時に伝え忘れていた、一番大切な「家族への遺言」がここに。
10年ぶりの監督兼主演作、その重みと温かさにむせび泣いた。

襟川クロ (映画パーソナリティー)
“悪さ”を軽いノリで極めたイーストウッド。
仕事は飄々と。家族の前では……トホホ。このギャップ、可愛すぎです。
シニアの星、88歳ヤンチャ男子、ここにあり!

おちまさと(プロデューサー)
2011年2月17日、私はブログ(※おちまさとオフィシャルブログ2011年2月17日の記事)に『運び屋は70歳』という作品がいつか映画化されると書いた。
しかし現実は『運び屋は90歳』想像は越えられ裏切らずに裏切られた。私の祖父は90歳で父は89歳で鬼籍に入った。じいちゃん、父さん、時代は進んでる訳で……。

越智道雄(明治大学名誉教授)
高齢化社会を生きる孤独な老人と家族の在り方、国境を越えて世界に蔓延するドラッグなど、社会性の高いテーマをもった実話を、イーストウッドはアウトローな男の「泥沼からの脱出劇」として仕上げた。

久保玲子(ライター)/ハースト婦人画報社『エル・ジャポン』4月号より
ヤクザに脅されても泰然自若。麻薬王(アンディ・ガルシア)の屋敷では美女に囲まれ元気溌剌。
どこまでが地で、どこからが演技なのか最早わからぬ御大の演出さばきは軽妙洒脱!

倉田真由美(漫画家『だめんず・うぉ~か~』)
「90歳」ってやっぱりすごいな。佇まいだけでも、物語になる。子供の無邪気さと長く生きた者の老獪さ両方が混在する90歳、誰よりも自分勝手で正義の人でもないのに、どうしても応援してしまう。

小堺一機
主人公のアールは自分の人生に何を運び、何を運び遅れたのか? 作品に風格まで纏わせるイーストウッド監督の手腕にウットリする傑作!!

斉藤博昭(映画ライター)
犯罪サスペンスなのに、心地よい風を浴びているような感覚を味わった。
演出も演技も、軽やかなのに胸を打つ奇跡!
イーストウッド、ついに「神」の境地にたどりついたのか……。

猿渡ゆき(L.A.在住映画ジャーリスト シネマトゥデイ)
「この歳になるといい役がないから」という理由で、近年は監督業に徹してきているイーストウッド。今作のアールは、まさに彼が久々に出てくるに値する役だ。この話がおもしろいのは、主人公が90歳という年齢だからこそ。がんこ爺さんの微妙な心の動きを、アールよりは少し若いイーストウッドが、あえて年寄りの役作りをして挑んでいる。“俳優”イーストウッドを、これからももっともっと見たい。

芝山幹郎(評論家)
不敵で、上機嫌で、居心地のよい映画。怖さとおかしさの陰に、いきなり足をさらう深みが潜んでいる。さすがはイーストウッド。「許し」という難問に直面しても、悠々と進む帆船の姿を失わない。シンプルで謙虚な超人だ。

立田敦子(映画ジャーナリスト)
7年ほど前、イーストウッドにインタビューした際、
自分のやりたい仕事に夢中になって、家族に十分な時間を
とれなかった若き日を悔いていた。
90歳の孤独な老人アール・ストーンは、まさしくイーストウッドの分身だ。
“不適切”な用語を連発する88歳のイーストウッドに、
ハリー・キャラハンの面影を見た。

中野翠(コラムニスト)
直線的なシンプルな構成のせいか、イーストウッドの過去の作品の断片が次から次へと画面に重なって思い出された。TVムービー『ローハイド』の若者ロディに憧れた子どもとしてはたまらない。こんな映画体験は初めて。

蓮實重彦(映画評論家)
ハンドルを握り、他人の曲をひたすら呟くように口ずさみ続ける88歳のイーストウッド!! そんな異様な光景を、いったいどこの誰が想像しえただろうか。

浜村淳(映画評論家)
罪の匂いか運命か。
走らなければ生きられぬ。90年の人生に
百合より麻薬が似合うのか。
地獄へ向かう2千キロ。どこかで破滅が待っている。
イーストウッドが命を賭けた息づまるほどの大名作!

ピーコ(ファッション評論家)
クリント・イーストウッドが凄い!
88歳にして監督・主演、しかも芝居が上手い
運転しながら歌う姿は、抱きしめてあげたくなった!!

樋口泰人(爆音映画祭プロデューサー/映画評論家)
カーステレオとともに歌うイーストウッド!
かつて見たこともないそんな姿が、波のように繰り返される。この反復の中ではあらゆるものが自由だ。生と死が混ざり合い、われわれが今
ここにいることのかけがえのなさを実感する。ご機嫌すぎて涙があふれる。

前田有一(映画批評家『男の隠れ家』『日刊ゲンダイ』)
90歳の運び屋アールは、決して褒められたもんじゃないダメ男なのに、どうしてこれほど共感してしまうのだろう。思うにイーストウッドの映画には、人に対する優しさと寛容さが溢れている。それは今のアメリカ、いや世界が失ってしまったものだ。隣国メキシコとの間に壁を築き、いがみ合う分断の時代。かつてその国境をやすやすと行き来した、古き良き鷹揚なアメリカ人の物語が、泣きたくなるほど心にしみる。

町山智浩(映画評論家)
イーストウッドは絶倫だ。米寿を迎えた今、さすがの許されざる者も枯れたろうと思ったら甘かった。「弾切れだと思ってるんだろう? 試してみるか、小僧!」というハリーの名ゼリフが蘇る!

松崎健夫(映画評論家)
家庭よりも仕事を優先し、経済効率や利潤を追求してきた1980年代以降の“アメリカ”そのものを体現する老いらく男。やましさを伴いながらも犯罪に手を染めてゆくイーストウッドの善悪を裁くのはあなた自身だ。

丸山ゴンザレス(犯罪ジャーナリスト)
麻薬ビジネスで“運び屋”の地位は低い。誰にでもできるからだ。
その割に逮捕されるリスクが高いので、簡単に切り捨てられるアウトソーシングが常識。
おかげでプロは育たないし、一流なんて存在しない。運び屋稼業はただのギャンブルだ。
それでも本作の主人公は、“90歳”だから出せる老獪な手札を駆使して頭角を現していく。
「このじいさん、やるな!」と思わず驚いた仰天の実話!

宮台真司
強くあろうとしたとき、彼は最も「弱い父」だった。
誰より弱い自分に気づき、「強さ」の意味を知った。
社会の承認より社会からの脱落こそが福音だった。
それこそがイーストウッド的不条理劇の終着点だ!!

森直人(映画評論家)
インターネットに店を潰されたオンナ好きのロートル男を軽やかに演じる映画神イーストウッド。
その優雅な佇まいは窮屈な21世紀への批評だ。
「もっとゆっくり生きろよ。俺みたいに人生を楽しめ」!

山田洋次(映画監督)
この主人公は、寅さんみたいな人かもしれない。
ギャングまでが心を開きたくなる、素朴で愛嬌のある老人。
人間はとても多様なんだということに気づかされる。
「ミリオンダラー・ベイビー」以来の傑作でした。

渡辺祥子(映画評論家)
ワルじいさんをひょうひょうと演じるこの映画がイーストウッド(88歳!)自身の魅力とキャリアのすべてを物語って素敵。

リアルサウンド編集部

最終更新:2/22(金) 12:04
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