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この秋、日本初上陸! 台北発のお洒落本屋「誠品書店」は、日本でも成功するのか?

2/23(土) 12:10配信

FRIDAY

信義店には、オープン当初、日本語書籍専門コーナーもあった

通常の書店一軒分よりはるかに広いスペースには、日本語を解さない台湾人のためにビジュアルメインの日本の本が並んでいた。

他の在台湾日系書店にもないラインアップは「日本の本は、こんなに面白かったのか?」と驚くほどで、日本から来る客をここに案内すると、日本でも見たことがなかった本を手に取りながら「こんな本屋、近所にあったらいいなぁ」と漏らす人もいたほどの品揃えだった。また同時に、台湾の人がどれだけ日本に興味を持っているのかを実感できるところでもあった。

しばらくすると、ここを立ち上げた日本人社員が離職し、維持が難しかったのか、なくなってしまった。その後そこには、台湾全土から集めたお土産にしやすいパーケージの良い食品や雑貨が置かれ、私のようなニッチな日本人ばかりでなく、観光客が「台北に来たら、”誠品”には行ってみたい」と言うところになった。

2010年、台湾に文化創意産業発展法という法が布かれる

平たくいうと、文化的に産業を発展させよう、国をあげて文化的にやっていこうじゃないか! というもの。今まさに、台湾では、まさにあちこちで「文創」(ウェンチュアン:文化創意の略)という言葉が聞こえ、猫も杓子も何かを“クリエイトする”時代になった。 

自分でデザインしたプロダクツを作りたければ、この法のおかげで、経験や資金がなくても国の公募で資金を調達できる。インディーズバンドでも企画書を書いて、文化機関に通せばCD作ってプロモーションビデオが作ることができ、海外遠征にも行けてしまう。そんな時代が台湾にやって来たのだ。

2013年 さらにライフスタイルにシフトした誠品生活・ソンイェン店がオープン

日本統治時代のタバコ工場跡を利用したレトロな松山文創園區内に、新たに日本の建築家・伊東豊雄氏による設計で建てられた誠品生活・ソンイェン店。地下には映画館、パフォーマンスホール、そして、クオリティの高い飲食店が並ぶフードコートができた。

2階は、メイドイン台湾のグッズに混ざって、指輪作り体験の工房や、吹きガラス工房などなど手作り体験ショップがいくつも入り、簡単な料理すら作らない、手を使うことをあまり好まなかった若者が物作りをしに集まった。「文創」の風潮で、“何かを作る”ことが流行り始めたこの時代、デパートの中で真っ赤なガラスの溶解炉がある光景は、ちょっとした見ものとなった。


そして、今年の秋、中国・香港への進出に続き、誠品書店は日本にオープンする。日本に台湾自慢の店が出店するのは台湾人にも喜ばしいことで、彼らの気質を考えると、多くの人たち
が日本旅行のついでに訪れるだろう。日本には熱狂的な台湾好きという層がある。そんな人たちも、日本中からいち早く駆けつけるはずだ。

しかし、中国語の本をどう日本で売るのか?  LCCで安く身近になった日台間なだけに、食に関しても台湾現地の味を知る人が多く、レストランでは、それなりの味が期待されるだろう。

さらに、台湾の「文創」で生まれたプロダクトは、日本の好みよりちょっとファンシーな甘いデザインが多く、値段も割と高い。そして、台湾人が日本に紹介したいものと、日本人が台湾に求めているものにズレがある。

懸念点はなくもないが、新しい試みを常にやって来た自由な書店が、東京でどんな新しい場所を作ってくれるのか。台湾にはない新しい価値が生まれるかもしれないと期待して止まない。


文:青木由香
神奈川県生まれ。台湾在住。2005 年、台湾の出版社から出版した『奇怪ねー台湾』(2011 年には日本でも出版)がベストセラーに。2013年台湾観光貢献賞を受賞。著作『最好的台湾』『台湾のいいものを持ち帰る』他、日台で出版。日台のいいものを紹介するショップ&ギャラリー『ニーハオウォーハオ』オーナー。現在は、ほぼ日の連載『台湾のまど』やメディアのコーディネイトを通して大好きな台湾を日本に紹介している。

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最終更新:2/23(土) 12:10
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