ここから本文です

就活で「オロナインをつけたソイジョイ」という自己PRは正解なのか? (後藤和也 大学教員/キャリアコンサルタント)

2/26(火) 6:41配信

シェアーズカフェ・オンライン

■コミュニケーション軽視の奇策は無意味

こうした就活本の内容は、面接が職場とのフィット感を測るためのコミュニケーションの場であることを軽視していると筆者は考える。しかしこうした「奇策」が出回るのは今回だけの話ではない。

就活業界では有名な話だが、かつて広まった就活にまつわる都市伝説がある。

一つ目は「納豆人間」。これは自己PRの際に「私は納豆のような人間です!なぜならば…」とどんなことにも粘り強く取り組むことをアピールするというものだ。

二つ目は「ここでリクルートスーツを脱いで帰ります!」というもの。これはこの会社に就職することを決め、以後就職活動は行わないという宣言であるという。

両者とも当時就活サイトや就活本を中心に「面接におけるベストな解答例」といった広まり方をしたものだが、あまりにも同旨の回答をする就活生が続出したため軒並み採用担当者からの評価を下げてしまったという。

これまで述べた通り企業が求める人材は非常に曖昧だ。採用プロセスには多数のバイアスがかかるため、採用担当者でさえ論理的に自社が内定を出した(出さなかった)理由を説明するのが難しい。

「プロセス自体が不透明なこと」や「成功や失敗について論理的な説明が難しいこと」が就活の大きな特徴であり、それが就活ビジネスによる成功体験や奇策の押し売りが横行する要因となっている。内定さえ得られればどんなロジックでも正解となり得るため、過度に人目を惹くような方法論が叫ばれがちで、「オレはこうして内定した」という切り口に多くの不安を抱えた就活生がすがってしまうという構図になるのだ。

しかし、面接は対人コミュニケーションであるという基本に立ち返れば、表面的な奇策は意味をなさないことがわかるだろう。就活ビジネスを含めた我々支援者は就活生に対し、面接という場の意味を含めた正しい知識を提供すべきではないか。

■就活に唯一絶対の解はない。ではどうすれば?
繰り返すが企業が求める人材像は多様で曖昧だ。人が人を選ぶ以上、面接官個人の価値観が加わる部分もある。冒頭のような自己PRも上手くいく可能性はゼロではないだろう。

逆に言えば、唯一絶対の解もありはしない。一つ確かなことは、一問一答ではくくれない「あなた」という人間を語れるのは紛れもないあなただけということだ。借り物の表面的な言葉で語り切れるほど、あなたの人生は薄っぺらいものではないはずである。

そのために必要なことは、まずは奇策に踊らされることなく面接がコミュニケーションの場であることを自覚すること。そのうえで自己理解や企業研究といった地道な努力を欠かさないことだ。そうした基礎がなければ堂々と他人に自分自身を語ることはできない。

就活というキャリアの節目で真剣に自分自身と向き合い、自分なりの職業観について採用担当者にぶつけてみてほしい。あなたの本気を採用担当者は心待ちにしているはずだ。


後藤和也 大学教員 キャリアコンサルタント

【プロフィール】
人事部門で勤務する傍ら、産業カウンセラー、キャリアコンサルタントを取得。現在は実務経験を活かして大学で教鞭を握る。専門はキャリア教育、人材マネジメント、人事労務政策。「働くこと」に関する論説多数。

3/3ページ

最終更新:2/26(火) 6:50
シェアーズカフェ・オンライン

記事提供社からのご案内(外部サイト)

シェアーズカフェ・オンライン(SCOL)

シェアーズカフェ株式会社

SCOLはマネー・ビジネス・ライフプランの
情報を専門家が発信するメディアです。
現在書き手を募集しています。特に士業や
大学教授、専門家を歓迎します。

こんな記事も読まれています

あなたにおすすめの記事