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米国で認可間近、鼻腔スプレー式抗うつ薬「エスケタミン」その利益とリスク

3/1(金) 19:00配信

クーリエ・ジャポン

娯楽ドラッグ、麻酔薬「ケタミン」がうつ病に効く?

ある薬が安全で効き目があるかどうか、臨床試験では充分に証明できない。「ジョンソン・エンド・ジョンソン」の抗うつ薬「エスケタミン」(麻薬「ケタミン」の微改変タイプ)くらい広く使われうるものなら、なおさらだ。

米国「食品医薬品局(FDA)」の認可プロセスは、釣り合いをとる作業だ。すなわち、安全・有効性を検査することと、命を救える薬を一刻も早く世に出す必要性を、秤にかけねばならないのだ。

2019年2月、FDAの一諮問機関がこの薬の利益はそのリスクに勝ると判断したことから、ほどなく認可される見込みだ。

だが、エスケタミンの長期効果については、まだたくさん突き止めるべきことがあるとうつ病の研究者たちは言う。

ケタミンは、娯楽ドラッグとして最もよく知られているが、1970年代から麻酔薬として使われてきた。後者の場合は、うつ病患者に処方されうる量より、はるかに多量で投与される。

医療系ウェブサイト「STAT」の記事によれば、試験ではこれまでのところ、この薬の依存性がそこまで高くないことが示されているようだ。だが、これから明らかになることもあるだろう。

なかでも、従来の治療が効かないうつ病の患者たちを対象にした臨床試験は最も有望だ。症状が改善した患者の割合は、従来の治療と偽薬を与えられた集団では50%だったが、従来の治療とエスケタミンを与えられた集団では70%だった。

この薬の使用法は、「プロザック」の服用よりもずいぶん複雑になるだろう。鼻腔スプレーとして供給されるよう処方されているが、薬を受け取るためには医院まで行かねばならない。使用後は少なくとも24時間、運転が許されない。そう言うのは、この臨床試験に関わってきたイェール大学の精神科医ジェラルド・サナコラだ。

この薬は、従来の治療が効かなかった患者に効く場合があるし、より速効性があるし、自殺予防にまでなりうるので、利益の可能性はあると思っているとサナコラは言う。

だが、この薬の長期的結果については突き止めるべきことがもっとたくさんある。いまのところ患者は最初の1週間に2回、以後は週1回の治療を受ける。だが、サナコラ曰く、さらに投与を減らしていけるのか、中断できるのか、再発リスクはあるのか、研究者たちにはわからないという。

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