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生活困窮者を囲い込む「大規模無低」のカラクリ

3/1(金) 5:00配信

東洋経済オンライン

 この無低業界の最大手で、上記の町田第二荘(定員20人)、葛西荘(同47人)を運営しているのが、NPO法人(特定非営利活動法人)の「エス・エス・エス」(SSS)(菱田貴大理事長)だ。同法人は無低を首都圏に122施設、定員数は4839人(2018年10月末時点)と大規模展開。2018年度の年間収入は51.7億円、収支は4300万円の黒字を確保している。

 SSSは1998年に人権擁護などを掲げる政治団体「日本人権連合会」(NJR)(高橋信一代表)として発足。2000年に改称し、NPO法人に認証された。2012年から菱田氏が理事長に就任している。

 メディアへの露出は少なく、東洋経済の取材依頼に対しても、「取材については日頃から慎重に対応しており、今回の取材対応については控えさせていただきたい」(広報担当者)としている。政治家に対しても同様の対応だ。「議論にあたってその現状を知るために、最大手のSSSに施設の視察を依頼したが、にべもなく断られた」。民主党政権時代に無低に関する議連を立ち上げるなど、同問題に詳しい初鹿明博衆議院議員はそう振り返る。複数の地方議会議員も視察依頼を門前払いされたと話すなど、SSSの施設運営の内実やその経営実態についてはベールに包まれている。

■6割弱が相部屋か簡易個室

 SSSによれば、2018年10月末時点で、施設のうち完全個室は4割強にとどまる。残る6割弱が町田第二荘や葛西荘のような多人数居室(相部屋)、もしくは簡易個室だ。「耐火ボードで2つに分けた部屋は3畳程度。布団を敷くと足の踏み場もない。仕切りの板は背丈より少し高い程度なので、照明や生活音が気になってゆっくり眠ることはできなかった」。生活保護を受給しSSSの簡易個室で半年ほど暮らしていた、50代の男性は話す。

 「エアコンは共有でリモコンはボードの向こうの相方の部屋にあったので、自分で操作できなかった。真夏の暑いさなかに相方が不在だった折は大変だった」と振り返る。施設の入居者はみな他人同士の中高年男性ばかりのため、「人間関係のトラブルが頻繁で、暴力沙汰のけんかも何度も目にした」という。住宅費と朝夕の食費、水光熱費などとして毎月10万円近く徴収され、支給される生活保護費は手元にほとんど残らなかったと話す。

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