ここから本文です

生活困窮者を囲い込む「大規模無低」のカラクリ

3/1(金) 5:00配信

東洋経済オンライン

 無低の施設利用料は、本来低額のはずだが、実際は簡易個室であっても、それぞれ一部屋分の生活保護の住宅扶助基準の上限額が設定されている場合が多い。高額な食費が徴収されたり、不透明な名目の利用料が徴収されたりする場合もある。その結果、厚労省の調査によれば、86%の無低で本人の手元に残る生活保護費は3万円未満とされる。

 昨年12月、無低の今後のあり方を議論する厚労省の検討会に、同省は簡易個室について「プライバシーが十分確保されているとは言いがたい」として、「段階的に解消を図っていく」「現存する簡易個室については一定の条件を付したうえで使用を認める経過措置を設けてはどうか」といった方向性を示した。

 相部屋についても同様だ。一見、簡易個室の全廃に向けて舵を切ったようにも見えるが、福祉関係者からは「廃止時期の目安も示されないなど踏み込みが足りない。これではなんら具体性がない」と危惧する声が上がる。

 厚労省が規制強化に強く踏み込めない背景には、生活保護などの事務を取り扱う各自治体の福祉事務所と、SSSのような大規模無低事業者との間にある依存関係がうかがえる。

 「福祉事務所は多忙なため、つい手間がかからない無低事業者に頼ってしまいがちだ」。元ケースワーカーの男性はそう語る。都市部では1人のケースワーカーの担当が100世帯を超えることもザラであり、アパート探しをはじめ丁寧な対応で困窮した当事者の生活の安定を担うことは容易ではない。

 他方で、「生活保護の受給さえ決まれば、大規模無低なら送迎付きで引き受け、どこかの空き施設で受け入れてくれる。その後も自治体によってはトラブルがない限り入れっぱなしにしている」(同)。

 厚労省の2015年時の調査によれば、本来は一時的な居所であるはずの無低に、入所期間4年以上に及ぶ入所者が全体の3分の1を占めている。千葉県による昨年5月の調査でも、無低における1年以上の入所者率は7割に上っている。「一度入所すると、無低事業者は生活保護費から毎月取りはぐれなく利用料を得られるし、行政は事業者に丸投げすることで細かなケースワークの手間が省ける。両者はウィンウィンの関係だ」(別の元ケースワーカーの男性)。

3/5ページ

こんな記事も読まれています

あなたにおすすめの記事