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マラソンでは双子の弟の陰だが……。設楽啓太の目標は「日本記録更新」。

3/6(水) 11:31配信

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 東京マラソンのフィニッシュエリア、表彰式が行われた丸ビル内で、男子マラソン界の主役のひとりを見かけ、思わず声をかけた。

 ――厳しいコンディションでしたね。

 「きつそうでした」

 そう応じたのは、設楽悠太だ。昨年の東京マラソンで日本記録を樹立し(現在は日本歴代2位)、すでに東京五輪のマラソン日本代表を決めるMGC(マラソングランドチャンピオンシップ)の出場権を得ている余裕だろう。もし自身が走っていたら、との問いかけにはこう続けた。

 「おそらく佐藤(悠基)さんや大迫(傑)にはついていったと思います。そして最後はたぶん死んでた(苦笑)。それぐらいきつそうでした」

先頭集団についていった組は苦戦。

 設楽が言うように、2019年の東京マラソンは厳しい気象条件に見舞われた。スタート時から降っていた雨はいっこうに降りやまず、1時間半が経過した10時半時点で東京駅前の気温は4.7度まで冷え込んでいた。日本屈指の高速コースで、総じて記録が低調だったのはこの寒さによる影響が大きい。

 序盤からペースメーカーに先導されたケニア、エチオピア勢が日本記録を上回るハイペースで飛ばす中、佐藤や大迫、中村匠吾が果敢に先頭集団に食らいついていったが、佐藤は30km以降にペースダウンし、大迫に至っては寒さで体が動かなくなり29km付近でのリタイアを余儀なくされた。

 設楽は東洋大時代の仲間を応援に来たようだが、1学年後輩の高久龍は2時間11分49秒の9位でワイルドカードでの出場条件を満たせず、双子の兄・啓太もまた2時間14分41秒で14位と結果を残すことができなかった。

マラソンでは差がついた設楽兄弟。

 その啓太は大学時代、大迫や悠太とともに世代トップクラスの実力を備えていた。今でこそマラソンの実績において2人とはかなりの差が開いているが、最終学年では陸上競技部の主将を務め、箱根駅伝の5区で区間賞を奪って総合優勝に貢献するなど、いわば学生長距離界の顔ともいえる存在だった。

 大学卒業後はケガの影響もあって伸び悩み、コニカミノルタを退社し、一時の浪人時代を経て現在の日立物流に籍を置くなど、もがき苦しんできた印象がある。

 本人は今回の結果をどう捉えているのか。表彰式後に姿を探して、話を聞いた。

 「25kmまでは余裕もあったんですけど……。後半に体力を残せませんでした」

 調子自体は悪くなかった。過去2回のマラソン挑戦と比べ、練習もしっかりと積め、体調も良い状態で迎えられた。悠太の練習法を参考にしていると語り、距離走は30kmまでだが、代わりにレースペースで走るポイント練習を増やして今回のレースに臨んでいた。

 「サブ10が目標で、まずはMGCの出場権を獲ろうと」

 だが、悪い気象条件を跳ね返すだけの強さと経験がまだ足りなかった。

 「折返し地点から向かい風に変わって、それでペースが落ちました。寒さに苦手意識はないんですけど、ここまで寒いのは想定外でした」

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最終更新:3/6(水) 11:41
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