ここから本文です

「ショーロンポー」は台湾料理?

3/8(金) 12:13配信

Wedge

 台湾に行ったらなに食べたい? と日本人に聞けば、「小籠包」と「マンゴーかき氷」がおそらく上位に入るのではないだろうか。日本人観光客が多く訪れる永康街(ヨンカンジエ)にいけば、ミシュランの星を獲得し今や小籠包の代名詞ともいえる鼎泰豊(ディンタイフォン)本店や、シーズン時のマンゴーかき氷のお店に、長蛇の行列が出来ている。

 しかし、厳密にいえば「小籠包」は台湾料理ではないかもしれない・・・と言えば、驚く日本人は多いのではなかろうか? 台湾を代表するレストランの看板料理が「台湾料理」ではないとは。では小籠包とは、どこの料理なのか?

中国料理の「8つの系統」

 近年になって中国料理の世界では「八大菜系」という区分ができ、地方や料理法・食材などによって中華料理をおおまかに八つの系統に分けている。この8つに何料理が入るかは諸説あるものの、一般的には日本でもよく知られる広東料理や四川料理もそのひとつで、ほかに山東料理、江蘇料理、浙江料理、安徽料理、福建料理、湖南料理が挙げられる。

 小籠包の名店「鼎泰豊」はこのなかで、上海や蘇州・杭州を中心とした「浙江料理」のお店であり、小籠包も浙江料理に含まれるというのが一般的かもしれない。それでは何故、小籠包が台湾を代表する食べ物になったのか、それは台湾の歴史と深い関係がある。

「鼎泰豊」はこうして生まれた

 1945年に太平洋戦争が終結し、台湾を統治していた日本人(約30万人)は引き揚げていった。それと入れ替わるようにして中国大陸から台湾へとやってきたのが国民党政権の軍人や政府関係者で、台湾は中華民国の「台湾省」として編入される。そして、中国共産党が北京に首都を置き中華人民共和国を建国すると共に、国共内戦に敗れた蒋介石率いる国民党が百数十万人の人々と共に台湾へと渡ってきたのが1949年のことだ。

 これら戦後に移住してきた人々の出身地は広大な中国各地に渡り、それと共に、台湾で中国各地の特色を備えた料理文化が花開いた。例えば刀削麺や水餃子・肉まん・餅(びん)など小麦粉を使った料理は中国北方の山東料理だし、唐辛子や花椒を効かせたスパイシーな料理は四川料理、フカヒレやチャーシューなどは広東料理である。件の鼎泰豊の創始者も戦後に台湾に来た中国移民で油の商売をしていたが上手く行かず、同じく移民の上海(浙江)料理のオーナーから油のとなりで「小籠包」を売る商売を勧められて始めたのが大当たりしたという。

 では「台湾料理」といえば、どんなものを指すのだろうか。よく言われるのは例えばビーフンなど、日本が台湾を領土とする以前に台湾に移住した中国福建系の人々が持ち込んだ「福建料理」をベースに、台湾の気候や材料に合わせて発展し、そこに更に原住民や客家、日本などの多様な文化が影響を与えたというものだ。

1/3ページ

最終更新:3/8(金) 12:13
Wedge

記事提供社からのご案内(外部サイト)

月刊Wedge

株式会社ウェッジ

2019年5月号
4月20日発売

定価500円(税込)

■創刊30周年記念インタビュー「新時代に挑む30人」山崎貴(映画監督)、藤野道格(ホンダエアクラフトカンパニー社長)、森岡毅(マーケター)…
■令和のはじまりは花曇り 道しるべは街角景気

こんな記事も読まれています

あなたにおすすめの記事