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【聞きたい。】東日本大震災から8年――ペット禁止の避難所で過ごしたゴールデン・レトリバーと被災者の絆『スヌーパー君がいた40日』著者インタビュー

3/9(土) 6:30配信

Book Bang

伝えたかったのは「絆」と「しつけ」

――たくさんの犬や猫が同じ教室のなかで避難生活を送るという状況が一時あって、吠えたり騒いだりのせいで、次々と出て行かざるを得ないなかで、スヌーパーだけが残りました。なぜスヌーパーは同行避難を許されたのですか? 

 実は一時期、教室から出て行かざるを得ない状況があったのですが、まとめ役の丹野さんが「動物は外という意見も出ましたが、スヌーパーはこの部屋に置いてあげたいと思います」と提案してくれて、みなさんがそれを了承してくれたのです。

――なるほど、擁護してくれる人がいたのですね。スヌーパーは被災された方達とどう接していたのですか? 

 ゴールデン・レトリーバーの特性なのかもしれませんが、人の気持ちに敏感です。飼い主さんの気持ちを察し、さらに場の空気も読むことができます。避難所で不平不満を口にする人もいるなか、スヌーパーは吠えることも鳴くこともありませんでした。そして、口が堅い話し相手にもなってくれました。

「スヌーパーが頑張っているんだから頑張ろう」
「スヌーパーの優しさのおかげで辛い時期を乗り越えられた」
 と多くの人の心の支えになったのです。

 もちろん、飼い主の康子さんがスヌーパーにしっかり「しつけ」をしていたことが大前提です。ですが、家の中で津波に襲われたときに、一台のベッドにスヌーパーを載せ、自分もそのベッドに捕まってなんとか生き延びる。そういう、生きるか死ぬかといった究極の場で命を支え合った康子さんとスヌーパーの間には、「しつけ」という言葉では片づけられない深くて強い「絆」を感じずにはいられません。

人の命も動物の命も平等

――本の中で印象的なのが「人の命も動物の命も平等」ということばです。

 これは丹野さんの言葉なんですが、実は丹野さん、お母さまを津波で亡くしているんですね。だからこそなおさら、「みんな九死に一生を得た命。人だって動物だってここを出たら行き場もない。どうにかして助けたい」という想いがあったのだと思うのです。

「命の重さをくらべちゃいけない」

 そんな言葉もありました。丹野さんは普段とても寡黙な方ですが、いざというときには正義感が強く、冷静沈着に解決方法を探っていける方でした。平等な立場で自分の意見を伝えたからこそ、教室のなかで合意が築けたのでしょう。

「家をなくしたり、家族を亡くさないと、その気持ちもわからない」

 これは被災者みんなが言うことです。ですが、たとえ被災者同士であっても、その違いによって気持ちはわかり合えない現実がある。丹野さんだからこそ、極限の状況にあっても人の心に言葉が届いたのです。

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最終更新:3/11(月) 12:00
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