ここから本文です

アートメークって? がん患者・時短派にも広がる医療

3/11(月) 7:47配信

NIKKEI STYLE

皮膚の表面に色素を入れ、眉毛やアイラインなどを描く「アートメーク」をする人が増えている。抗がん剤治療などの影響で失われた眉毛などを描く人に加え、最近は化粧の手間を省くために利用する人が出てきた。働く女性が増えたことも背景にありそうだ。
乳がんで闘病している東京都内に住む女性(48)。服用している抗がん剤の影響で全身の体毛が抜け、気持ちがふさぎ気味になっていた。主治医の紹介でアートメークを知り、眉とアイラインを入れた。
「以前は見た目が気になり外出するのがおっくうだったが、今は海外旅行も楽しんでいる」と気持ちも前向きになった。女性の主治医である女性医療クリニックLUNA横浜元町(横浜市)の小関淳医師は「アートメークを入れると患者の心のケアにもつながる」と副次的な効果も指摘する。
抗がん剤治療の副作用で毛が抜けてしまった人向けの治療として始まったアートメーク。最近はがん患者の利用者が増える一方で、違う目的で活用する人も出てきた。東京都中央区にある東京皮膚科・形成外科銀座院。74歳の女性がアートメークを施されていた。看護師が医師の指導のもと眉を描き入れていく。
「お風呂に入った後に化粧をする手間を省きたい」。女性がアートメークをしようと決めたのは友人とのスキー旅行を考えてのことだった。おっくうだったのが入浴後の化粧。眉を入れたことで風呂上がりにも気兼ねなく友人と顔を合わせて話ができると期待する。
「老眼を理由にアートメークをしたいという人が来院している」。美容皮膚科を持つシャルムクリニック(千葉県松戸市)の桜井直樹院長は指摘する。老眼になると、鏡に映る自分の顔がぼやける。アイラインなどを描くには鏡を見ながら細かく手を動かす必要があるが、思い通りに仕上がらないため治療に訪れる人が増えているとみられる。
中高年層だけでない。「眉を描くのが苦手で、毎朝の化粧に時間がかかることが悩みだった」。31歳の女性は同クリニックで眉にアートメークを入れた。以前に別の医療機関でアイラインも入れていたため、結果的に朝の化粧時間を10分ほど短縮することができた。「アートメークで何度も眉を引き直さずに済み、助かっている」と満足げだ。
総務省の2017年の就業構造基本調査によると25~39歳の女性のうち働く人の割合は75.7%と過去最高。育児しながら働く人も多く、朝の身支度は少ない時間で済ませたい。日々の化粧の替わりにアートメークを選んでいるといえる。
アートメークの手順はまず、医師が普段の眉の形や仕上がり後のイメージを患者と確認し、看護師がペンで下書きする。その後、黒や茶色など適切な色を選び、実際に針を使って色素を皮膚の表面に入れる。
アートメークは医療行為である一方、医師の美的センスも問われる。東京皮膚科・形成外科の池田欣生総院長は17年に皮膚科や美容外科の医師からなる「医療アートメイク学会」を設立した。医師がアートメークに使う色素や機械を販売する企業から講師を招き、技術を学ぶ機会を設けている。
◇  ◇  ◇

1/2ページ

最終更新:3/11(月) 12:15
NIKKEI STYLE

記事提供社からのご案内(外部サイト)

ライフスタイルに知的な刺激を。
生活情報から仕事、家計管理まで幅広く掲載
トレンド情報や役立つノウハウも提供します
幅広い読者の知的関心にこたえます。

こんな記事も読まれています

あなたにおすすめの記事