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アーセナル、マンU撃破のポイントは? 勝利への架け橋となった、メスト・エジルの頭脳

3/11(月) 11:52配信

フットボールチャンネル

 プレミアリーグ第30節、アーセナル対マンチェスター・ユナイテッドの一戦が現地時間10日に行われ、2-0でホームチームが勝利している。CL出場権獲得へ向け、負けることの許されなかったアーセナルだが、90分間攻守両面で相手を上回り完璧な勝利を収めた。そしてメスト・エジルの頭脳的なプレーもかなり効果的であった。(文:小澤祐作)

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●あのショッキングな敗戦を引きずらず

 オーレ・グンナー・スールシャール新監督の下、マンチェスター・ユナイテッドは圧巻の強さを維持していた。リーグ戦では負けなし、チャンピオンズリーグ(CL)でも、パリ・サンジェルマンにホームで0-2と敗れながら、アウェイで3-1と勝利。大逆転でベスト8へ駒を進めている。

 ジョゼ・モウリーニョ前監督に率いられていたチームは、リーグ戦トップ5入りも難しいのではないかというほどの順位にいたが、気づけば現在のマンチェスター・UはCL出場権争いを繰り広げている。スールシャール監督就任後、チームは明らかに生まれ変わった。

 しかし、そんな好調を維持するチームが新監督の下、ついにリーグ戦で初黒星を喫した。マンチェスター・Uを下したのは、同じくCL出場権を争うアーセナルだ。

 アーセナルはこの試合が行われる3日前、ヨーロッパリーグ(EL)決勝トーナメント2回戦1stレグ、対レンヌ戦を1-3で落としたばかりだった。そのためマンチェスター・U戦は、少なからずこのショッキングな敗戦の影響もあるのではないかと予想していたが、そんな不安は試合開始早々に吹き飛んだ。

 立ち上がりから相手の最終ラインまで猛烈なプレスを与えに行くアーセナル。高い位置でボールを奪っては、短いパスで攻撃を組み立てGKダビド・デ・ヘアを襲う。守備でも、ウィングバックのセアド・コラシナツとエインズリー・メイトランド・ナイルズがしっかりサイドをカバーし、マンチェスター・Uに簡単に攻めさせない。

 そして12分、グラニト・ジャカの強烈なミドルシュートが突き刺さり、先制。これで流れを完全につかんだアーセナルは、攻守両面でマンチェスター・Uを上回り、後半にも1点を加え2-0で勝利を収めた。この結果により、順位もCL出場圏内の4位に上げている。

●攻撃は最大の防御

 シュート数はお互いに14本。支配率は46%:54%とアウェイのマンチェスター・Uが上回っていた。パス成功率やパス本数でも、より数字が出ていたのはやはりアウェイチームである。

 それでもアーセナルが勝利を収められた理由には、効果的なカウンターと、相手の攻撃を簡単に始めさせなかった点にある。

 マンチェスター・Uにボールを持たれる展開が多かった同チームは、ジャカやアーロン・ラムジーがしっかり中央に蓋をし、危険なエリアへの侵入を許さない。アレクサンドル・ラカゼットやメスト・エジルも守備面で奮闘し、マンチェスター・Uを苦しめた。

 ボールを奪ってからの素早い攻撃は、ウナイ・エメリ監督の得意とするサッカー。実際、今のアーセナルの強みはそこにある。

 前線には驚異のスピード力を持つピエール=エメリク・オーバメヤンが陣取る。カウンター時、この男の走力は最大限発揮されるため、マンチェスター・Uにとっては恐ろしい存在となっていた。

 そして、アーセナルの攻撃はただ単純に速いだけではない。味方の動きも見ながら、遅攻へとシフトすることもある。その時にカギを握るのはラカゼットとエジルだ。

 彼らは相手の中盤とCBの間のスペースをうまく使い、パスを引き出す。そしてそのエリアでボールを受けると、圧倒的なキープ力を発揮して味方の攻撃参加を待つことができる。そうするとマンチェスター・Uの最終ラインは必然的に深くなり、カウンターを開始する位置も当然深い位置からになる。そのため、アーセナルは被カウンター時には余裕を持って対応することができた。

 ロメル・ルカクにロングボールが収まり、そこから展開されピンチを迎えることはあったが、とくに後半はカウンターによる決定的な場面は、それほど多くは作られていなかった。

「攻撃は最大の防御」とも言うが、アーセナルはまさにそれを体現したのだ。こうした部分が、勝利へのポイントになっていたことは間違いない。

●変化を加えるエジルの頭脳

 ジャカは攻守両面で存在感を放つなど素晴らしい出来でチームを勝利に導いた。ラカゼットやオーバメヤンも前線で見事な働きぶりだったと言うべきだろう。だが、この日最も輝きを放ったのはエジルかもしれない。

 エメリ新監督の下、なかなか出番が訪れなかった元ドイツ代表MFだが、やはりピッチに立てば違いを生める選手だ。その才能と頭の良さは今なお健在。CL出場を狙うアーセナルにとっては必要な駒であることに間違いはなく、今後もカギを握る存在であることは事実だ。

 先に述べた通り、エジルは相手のボランチとCBの間にポジショニングし、ボールを引き出してはキープし、パスを散らすという役割を完遂。ただ単純に速い攻撃を仕掛けるのではなく、より攻撃に厚みが加わったときに一気に崩しにかかる。こうしたサッカーを展開するのに、キープ力、パススキルの高さを兼ね備えるエジルは不可欠な存在だったと言えるだろう。

 同選手はこの日、全体でトップとなる4本もの決定的なパスを繰り出している。パス成功率は途中出場のデニス・スアレスを除けば全体でトップとなる91%を記録。エジルの持ち味は最大限発揮されていたと見るべきだ。

 守備はあまり得意ではないが、下手ではないのも事実。マンチェスター・U戦でも果敢にボールホルダーへ身体を寄せ、相手に自由を与えない。ピッチをかなり走り回っていた印象だ。

 エジルの頭脳的なプレーは、アーセナルに面白い変化を加える。今後、チームとしてそうした部分が成熟すれば、クラブは更なる高みを目指せるはずだ。

 まだリーグ戦は残されており、CL出場権獲得も決まったわけではない。ここからはより一層集中した戦いが求められる。そこで果たしてエメリ監督は、エジルを起用し続けるのか。

(文:小澤祐作)

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最終更新:3/11(月) 11:52
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