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片岡仁左衛門に聞く、歌舞伎 「時代物」の味わい方

3/12(火) 21:57配信

T JAPAN web

インタビュー連載『歌舞伎への扉』 Vol.1

 歌舞伎という日本の伝統演劇は、実に多彩なレパートリーを持つ。芸術性の高い作品もあればスペクタクルな娯楽作もあり、半日がかりで上演される大作から20分にも満たない舞踊までさまざまだ。最初に出会う作品次第で、歌舞伎から受ける印象はガラリと変わる。歌舞伎ファンはもとより、まだ見たことがない、見たけれど意味がわからなかった、そんな方々を、毎回スペシャルなゲストが歌舞伎の豊かな世界へご案内する。第一回は、人間国宝・片岡仁左衛門さんが登場。

『盛綱陣屋』で 佐々木盛綱を演ずる片岡仁左衛門

 歌舞伎の演目のなかで、とくに難解だと思われがちなのが“時代物”と呼ばれるジャンルだ。武士の世界の出来事を描いた作品で、人形浄瑠璃にルーツを持つ。敷居が高く見える要因としてまず挙げられるのは、現代とは異なる言葉遣いだろう。そのことに関して、以前あるインタビューではっとさせられたことがある。
「外国の音楽をお聴きになるとき、すべての方が歌詞を全部理解していらっしゃるわけではありませんでしょう?」歌舞伎の立役として重要無形文化財(人間国宝)の指定を受けている片岡仁左衛門さんの言葉である。

 理解と感動は決してイコールではない。それはどんな芸術にも当てはまるし、仁左衛門さんにそう言われると何やら勇気が湧いてくる。だがその一方で、理解によって感動が深まることがあるのも確かだ。今回はその理解への一歩を踏み出すべく、この3月、歌舞伎座で時代物の名作『盛綱陣屋(もりつなじんや)』に主演している仁左衛門さんを訪ね、この作品の鑑賞のポイント、そして時代物をより楽しむための手がかりをうかがった。

『盛綱陣屋』はその名の通り、佐々木盛綱という武将の陣屋、つまり戦場のベースキャンプが舞台となった物語である。題材となっているのは、大坂冬の陣。豊臣から徳川へ政権がまさに移ろいつつあるなか、ある家族に起こった出来事が描かれている。「実は、この佐々木盛綱は、真田信幸なんですよ」と、仁左衛門さん。「その弟の高綱は真田幸村のこと。これを頭に入れておくと、より物語を理解しやすいでしょう」(註1)。真田一族といえば、2016年のNHK大河ドラマを思いだす方もいるかもしれない。盛綱は、大泉洋さんが演じた真田信幸がモデルというわけだ。

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最終更新:3/12(火) 21:57
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