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刑事訴追避けるには大統領再選しかない!窮地のトランプ

3/12(火) 12:32配信

Wedge

コーエン公聴会の評価

 次に、コーエン被告の公聴会に対する有権者の反応もみてみましょう。世論調査で定評があるモンマス大学(米東部ニュージャージー州)の調査(19年3月1-4日実施)によると、同被告の議会証言について37%が「正直」、24%が「部分的正直」、16%が「不正直」と回答しています。

 さらに、同調査が「トランプ大統領は弾劾されるべきか」と質問したろころ、42%が「されるべき」、54%が「されるべきではない」と答えています。しかし、18年11月の調査結果と比較しますと、「されるべき」が6ポイント上昇しており、コーエン被告の公聴会の影響を受けたといえるでしょう。

 クイニピアック大学の世論調査においても、41%がコーエン被告は「真実を語った」と回答しており、「真実を語っていない」の36%を5ポイント上回りました。「トランプ大統領とコーエン被告のどちらを信じますか」という質問には、50%がコーエン被告、35%がトランプ大統領と回答しており、同被告に軍配が上がりました。

 加えて、「トランプ大統領は大統領に就任する前に犯罪を犯したと思いますか」という質問に対しては、64%が「思う」と答えました。共和党支持者においても、約3割がトランプ大統領が犯罪を犯したと信じています。

 トランプ大統領にとってさらに悪いことには、16年の米大統領選挙中に、不倫をしたとされる女性に「口止め料」を支払い、その費用を明らかにしなかった点について、約4割が「非倫理的で犯罪」と答えています。彼らはトランプ大統領が選挙資金法に違反したとみているのでしょう。

 これらの調査結果を見る限り、コーエン被告の議会証言は、トランプ大統領に対して確実にダメージを与え、議会民主党が同大統領の刑事訴追への第1歩を踏み出すきっかけになったことは間違いありません。

「逃げ切り」を狙うトランプ

 選挙資金法違反に加えて、コーエン被告の証言により、トランプ大統領は「共謀罪」に問われる可能性も高くなりました。以前述べましたが、同被告は下院監視・政府改革委員会での公聴会において、内部告発サイト「ウィキリークス」が、ヒラリー・クリントン元国務長官に不利なメールを大量に流すことを、トランプ大統領が事前に把握していたと証言したからです。

 仮にそうであるならば、トランプ大統領はウィキリークスと共謀した形になります。しかも、米情報機関はウィキリークスが公開したクリントン陣営及び民主党本部の電子メールは、ロシアのハッキング集団が窃盗したものであると断定しています。となると、トランプ大統領は外国政府、しかも敵国の政府と共謀したと解釈ができます。

 さて、米司法省の内規では、現職大統領は刑事訴追を受けません。ただし、これも繰り返しになりますが、トランプ大統領は20年の米大統領選挙で民主党候補に敗北し、前大統領になると訴追される可能性があります。

 従って刑事訴追から逃れるために、トランプ大統領にとって来年の大統領選挙での勝利は「絶対条件」になりました。ロイター通信によれば、たとえ訴追されても大抵の連邦刑事罪は時効が5年なので、時間切れになるというのです。

 トランプ大統領が次の大統領選挙に勝って、果たして逃げ切り態勢に入ることができるのか、注目です。

海野素央 (明治大学教授、心理学博士)

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最終更新:3/12(火) 12:32
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