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「子殺し」が止まらない──「虐待」の連鎖を生む「児童相談所」の厳しい現実

3/12(火) 11:30配信

デイリー新潮

虐待が原因で死亡した子供の数は、2016年度は49人

「子殺し」が止まらない。今年1月、千葉県野田市で小4の栗原心愛(みあ)さんが父親の虐待で亡くなった事件、昨年、東京都目黒区で5歳の女の子が虐待死した事件。

 厚生労働省のデータによれば、全国の児童相談所(児相)における「児童虐待相談対応件数」は年間13万件をゆうに超える。この数は統計を取り始めた1990年から減ることは一度もなく、毎年記録を更新している。そして、虐待が原因で死亡した子供の数は、2016年度には49人だったという。

 心愛さんの事件でも話題となっているが、子供の虐待死事件で必ず問題視される児相とは、どのような施設なのか。「選択」編集部編『日本の聖域(サンクチュアリ)―アンタッチャブル』では、その内情について詳細に報告している。「児相は公務員の職場としては下位に属する」という元・児相職員の告発を紹介、そしてこう続く。

「行きたくない職場」

〈すべての部署と比べても職員が「行きたくない職場」が児相なのだ。公務員の異動ペースは特殊な事情がない限り、2、3年おきだ。つまり、児相にいるのは、業務命令によりやむを得ず籍を置き、やがてまた別の部署へと去っていく「お役人」という人種なのである〉

 組織は極めて「官僚的」で、「とかく平穏無事を希求」する。「担当者の責任でできるならやればいい」と言い放つ上司も少なくないという。

 児相には「児童福祉法」で規定された「福祉司」を置くことが決められているが、それも〈一皮剥けばただの公務員〉だと、同書では指摘している。心理学、教育学、社会学などの必要な科目を履修し児相に1年勤めれば福祉司の資格は得られるが、同法によれば「社会福祉主事として2年以上児童福祉事業に従事した者」にも資格が与えられる。しかしその〈社会福祉主事とは、通称「3科目主事」とも言われる公務員の肩書き〉なのだ。

 つまり、社会福祉概論や社会福祉行政論、老人福祉論などといった福祉関係の単位だけでなく、たとえば経済学、法学、民法など、厚労省が指定した34科目のうち、たった3科目を履修していれば、社会福祉主事の資格が取得できるのである。

 同書では、さらに驚きの児相の実態をレポートしている。保護された子供はほとんどの場合、一時保護所に入る。ところがその施設こそ、虐待から保護されたはずの子供に「家に帰りたい」と思わせる場所だという。なぜなら、保護所に虐待が横行しているからだというのだ。

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最終更新:3/12(火) 11:50
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