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『PRINCE OF LEGEND』 恋愛映画の定石壊す挑戦

3/13(水) 7:47配信

NIKKEI STYLE

個性豊かな14人の王子たちが“伝説の王子”の座を巡る争いを繰り広げる『PRINCE OF LEGEND』。2018年10月より放映されたドラマでは、“伝説の王子”を目指すきっかけが描かれてきたが、3月21日に公開される映画版では、いよいよ「伝説の王子選手権」が開催され、物語はクライマックスを迎える。

14人の王子のうち、9人は芸能プロダクションLDHの所属。GENERATIONSの片寄涼太と佐野玲於、関口メンディー、劇団EXILEの鈴木伸之と町田啓太、THE RAMPAGEの川村壱馬と吉野北人、藤原樹、長谷川慎が出演する。また、EXILE HIROがエグゼクティブプロデューサーを務める。

LDHと言えば、15年から始まった『HiGH&LOW』シリーズが記憶に新しい。本作は、その『HiGH&LOW』に通じる点が多い。映画とドラマのみならず、ライブやゲームなどへ展開するメディアミックスプロジェクトである点、チームごとにテーマ曲を設定している点などは、『PRINCE OF LEGEND』でも変わらない。

だが、その内容が大きく異なる。派手なアクションシーンを中心に、地区ごとの抗争をミュージックビデオ的な文脈で構築した『HiGH&LOW』から一転、『PRINCE OF LEGEND』で描かれるのは、タイプの異なる様々な王子たちが登場する世界。その世界観は世間一般が抱く、ワイルドで男性的なLDHのイメージからはおよそかけ離れたものだ。

■恋愛作品へのアンチテーゼ

近年、映画・ドラマ業界では、少女マンガ原作を実写化した恋愛作品が量産されている。『PRINCE OF LEGEND』も“王子が大渋滞”といったキーワードを掲げるが、原作ものではなく、オリジナル脚本から制作。実は従来の恋愛作品へのアンチテーゼともいえる、実験的な映像作品となっている。

「直球の少女マンガ原作には、制作側も視聴者側も飽きている状況。その中で新しい女性向けコンテンツに挑戦したい意図があった」。そう語るのは、『HiGH&LOW』に続いて本作の企画プロデューサーを務める、日本テレビの植野浩之氏だ。『近キョリ恋愛』や『黒崎くんの言いなりになんてならない』など、少女マンガ原作の実写化に取り組んできた1人でもある。

さらに、マンガ原作の実写化に携わってきたスタッフがそろう。ドラマ版の監督は映画『鈴木先生』などの河合勇人氏。映画版監督の守屋健太郎氏はドラマ・映画『仮面ティーチャー』など、脚本の松田裕子氏は『ごくせん』や『東京タラレバ娘』などを手掛けた。

『PRINCE OF LEGEND』の斬新さとして、3つのポイントが挙げられる。1つ目はストーリー展開を重視せず、キャラクターを動かすことに注力した点。2つ目は、“胸キュン”シーンを過剰に盛るなど、通常の少女マンガ原作とは異なる表現を追求した点。そして3つ目は、女性の共感を狙うのでなく、男性陣の描写を軸に進める点だ。

1つ目のポイントである「キャラクターを動かすことに注力」した点はこうだ。一般的なドラマや映画は、軸となる大きなストーリーを起承転結の構成で展開するのがセオリー。連続ドラマならば、回を重ねていくごとに心情や状況の変化を描く。だが、ドラマ版『PRINCE OF LEGEND』は、異質な作りだった。1話目で、「王子たちが“伝説の王子”の称号を競う物語である」とうたうものの、14人の王子の魅力や個性を紹介する内容がほとんどで、話はなかなか進まない。最終回前の9話でようやく本題の「伝説の王子選手権」という名称が本格的に出た。


「起承転結があると、視聴者はそのストーリーを追うだけで広がりがない。しかし、キャラクターを動かす“キャラクターショー”は、視聴者の自由度が上がり、様々な想像の余地を与えられる。たくさんの登場人物から“推し”を見つけて、自由に想像しながら楽しんでほしいと考えた」(植野氏)

王子の数は「当初は7人程度と考えていた」(松田氏)というがその倍に増え、セレブ王子にヤンキー王子、生徒会長王子、ダンス王子など、キレのあるキャラクターを用意。本作は、いかにキャラクターの魅力を伝えるかが成功の鍵であり、各キャラクターの魅力を強調するため、配役は俳優本来の持ち味も加味して決められた。撮影前には数度にわたるリハーサルが行われ、例えば、当初は「Teamネクスト」に配されていた塩野瑛久が「Team奏」に移動するなどの変更も。理事長秘書を演じる大和孔太も、初めは王子の1人だったという。「王子のイメージやチームのコンビネーションなども考慮し、かなり試行錯誤した」と守屋氏は明かす。

言葉遣いや衣装の違いでも、キャラクターを明確化する工夫を盛り込んだが、最終的には俳優陣がそれぞれの役を各自で深め、時には想定の斜め上を行く演技でさらに膨らませていった。「特に町田(啓太)くんは、私が思い描いたのとは違うトーンで“先生王子”を演じてくれ、すごく面白くしてくれた」(松田氏)。

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最終更新:3/13(水) 10:12
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