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長期で残る市場波乱の芽 インフレが火種(平山賢一)

3/13(水) 7:47配信

NIKKEI STYLE

米連邦準備理事会(FRB)は2019年に2%のインフレ目標の達成が困難との見方が広がっています。雇用情勢は良好なものの、グローバル化やデジタル化による経済構造の変化もあって、物価の上昇ペースは過去の景気回復局面に比べ緩やかだからです。
インフレ率が上昇しなければ、FRBの利上げ根拠も消失するため、米長期債利回りの上昇にも歯止めがかかるはずです。実際、トランプ政権発足後、一時は3.2%を上回っていた米10年国債利回りは今や3%を下回る水準で推移しています。

■金融環境は好転に向かっているが…

また、FRBのバランスシート圧縮もその停止について議論されるようになっています。18年の株価急落の背景にはFRBの利上げや資産圧縮による長期金利の上昇がありましたから、金融環境は好転に向かっていると判断してよさそうです。
一方で、国際政治環境の不安定感は払拭できません。米中貿易戦争や経済のブロック化によるコストプッシュ型のインフレ懸念は、長期的な市場波乱の芽として残っているのが現状といえるでしょう。
今回は長期にわたるインフレ率の推移を振り返り、先行きの状況を予測する材料を提供したいと思います。インフレ率の推移は長期金利にも影響を与えるため、重要な意味を持つからです。
インフレ率の将来予想は、難しいといわざるを得ません。ただし、長期で見ていくと、インフレ率は周期(サイクル)を描きながら、約50~60年ごとに上昇と低下を繰り返していることが確認できます。このサイクルを発見した経済学者の名前にちなんで、「コンドラチェフサイクル」と呼びます。インフレ率は短期ではランダムに変動するため、法則性を見いだしにくいのですが、長期ではサイクルが鮮明に浮かび上がってくることに驚かされます。

■長期のインフレ率は周期を描いている

図に示した過去およそ200年間の英米のインフレ率を見ると、1810年、64年、1918年、49年、80年にピークを記録しています。ピークから次のピークまでの期間は54年、54年、31年、31年という具合に、長期的な周期を描いています。仮に第2次世界大戦の復興需要期である1949年前後をカウントしなければ、ピークは18年前後から80年前後の62年間となります。
つまり、コンドラチェフサイクルで指摘されている、50~60年ごとの物価長期循環のリズムと符合してくるのです。また、20世紀には経済の構造変化で周期が短縮していると解釈することもできます。いずれにせよ、私たちが経験している好景気と不景気の繰り返しの周期よりも、かなり長い周期ということが分かるでしょう。
このように考えると、これから私たちが向かう局面のイメージを描くことができるのではないでしょうか? そうです、現在は1980年に山の頂上に登りつめ、その後、長い、長い、緩やかな坂道を下ってきたのです。しかも、30年以上もの長きにわたり、下ってきたのですから、そろそろ下り坂も終わるはずです。
山の頂に立ち、そして次の山の頂上に登りつめるまでの期間が、50~60年だとするならば、坂道を下りてきてから、すでに40年近く経過しているのですから、そろそろ次の登山の準備をしなければいけないと考えるのは自然なことでしょう。
それでは将来物価が上がるとしたら、どの程度でしょう? 2000年代の初めのころは新興国の経済成長により資源価格が上昇し、インフレ率の上昇懸念が台頭しました。しかし、グローバル金融危機の影響や技術革新による製品価格の下落により、その懸念は消失し現在でも米国も英国もインフレ率は2%前後で安定しています。

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最終更新:3/13(水) 12:15
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