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【月刊『WiLL』(4月号)より】欧米の中国包囲網に日本は ――

3/14(木) 11:17配信

WiLL

トランプ政権の決意

 ドナルド・トランプ大統領は、二月五日夜(日本時間六日午前)、上下両院合同会議で、今後一年の施政方針を示す一般教書演説を行った。
 中国との貿易戦争に関する部分では、「我々は中国に対し、長年にわたって米国の産業を狙い、知的財産を盗んできた今、雇用と富を盗み取るのはもう終わりだと明確にしておきたい」と強調した。
 さらに「我々を利用したと中国を非難するつもりはない。私はこの茶番を許したわが国の過去の指導者と議員たちを非難する」と自省を促し、抜本的な改革を呼び掛けている。
 中国にWTO加盟を推進したのは、九〇年代の民主党のビル・クリントン政権時代だった。当時、米国の推進派は「わが国にとって、マイナス面はない」と豪語していた。しかも加盟交渉中の中国代表団は、「価格統制や輸入制限は次々と撤廃される計画であり、今後、政府は国有企業の経営に直接関与することはなくなる」と強調した。
 そして、二〇〇一年十二月に、百四十三番目の加盟国となった中国政府は、「技術移転を投資の条件としない」ことを約束したのだ。
 しかしながら、この十余年、「自由で公正な貿易」とは相いれない政策で、中国は富も技術も“強奪”してきた……。米国の言い分では、その“象徴的な企業”が、華為技術(ファーウェイ)なのだ。
 米通商代表部(USTR)の昨年三月の調査報告書は、「中国政府は、海外企業の技術を獲得することで、自国産業の高度化を図ろうとしている」と指摘。USTRがWTOに提訴した内容について、日本貿易振興機構(ジェトロ)ニューヨークのレポートによると、具体的に四点が挙げられている。

一.市場アクセスと引き換えに中国が技術移転を強制──中国政府は、米国企業の技術や知的財産を中国企業に移転させることを目的に、米国企業の中国事業を規制・干渉している。 
二.海外企業に不利なライセンス規制──中国政府は、市場原理にのっとったライセンス(技術輸出入管理令により、義務付けられている補償や改良技術の帰属に関する条件などを含む)や技術契約を、米国企業が中国企業と結ぶことを妨げている。三.中国企業による米国企業の買収を後押しし、中国政府が指示や不当な支援をしている──中国の産業政策に合致した先端技術や知的財産権を取得することを目的に、中国企業が米国企業を組織的に買収したり投資したりする。
四.サイバー攻撃により得たビジネス情報を国有企業に提供──米国の商業コンピュータ・ネットワークへの違法侵入、知的財産・営業秘密・ビジネス関連の機密情報を電子上で盗む行為に中国政府が関与または支援している。

 一方の中国は、昨年六月に中国国務院新聞弁公室が発表した「中国と世界貿易機関」白書に、以下のような内容を記した。
「WTO加入後、中国はしっかりとした知的財産権保護法律体系を築き上げ、知的財産権保護のための法執行を強化し続け、知的財産権保護で著しい効果を上げている」「中国は三カ所の知的財産権法院(裁判所)を設立するなど、司法による知的財産権保護の水準を常に高めている」
 まさに優等生的な内容だが、中国が三権分立ではなく、裁判所が党の権力者らに私物化されていることは、どこにも記されていない。
 さらに昨年十二月十八日、中国共産党改革開放四十周年祝賀会で、習近平国家主席は、「共産党が一切を指導し、その指導を不断に強化していく」と独裁強化を宣言した。
 トランプ政権との、対決姿勢を明確にしたとも考えられる。習政権が掲げるスローガンは、「より強く、より優れ、より大きく」。世界で戦える巨大な国有企業をつくる構想は、権力集中を進める習主席の政権戦略と、権力維持とも密接に絡んでいる。
 しかも国有企業のみならず、民間企業への党の指導も強化されている。「今後、政府は国有企業の経営に直接関与することはなくなる」という、WTO加盟時の約束を、習政権が反故にしていることは明々白々である。

《続きは本誌にて》

河添恵子(ジャーナリスト)

最終更新:3/14(木) 11:17
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