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フィリピンにマハティール警告

3/14(木) 23:25配信

Japan In-depth

■ 大量流入の中国人労働者問題でも牽制

さらにマハティール首相は、ドゥテルテ大統領が就任した2016年以来、主に首都マニラに流入した中国人労働者が約20万人に達していることに触れて「外国人労働者の大量在留は経済問題に影響を与え、ひいては政治的均衡をも乱しかねない」と警戒を呼びかけ、中国人労働者問題に寛容な政策を続けるフィリピン政府を牽制した。

約20万人の中国人労働者の多くは中国人ユーザー対象のオンラインゲーム企業に雇用され、労働許可や在留許可のない不法労働者がそのほとんどだといわれている。

ドゥテルテ大統領は「不法滞在、不法労働の中国人にあえて厳罰で臨まない」姿勢をみせている。

その背景には出稼ぎ大国として海外出稼ぎで働く多くのフィリピン人も同じような境遇にあることを念頭に「中国人に厳しく対処すると海外のフィリピン人出稼ぎ労働者の環境も厳しくなる」ことへの懸念があるといわれえている。

こうした実態にマハティール首相は「外国からの直接投資は国内に多数の外国人を住まわせるものであってはならない。どの国の出身者であっても、多数が国内に居住し、滞在すれば経済に影響を与え、政治的均衡も乱しかねない」と指摘した。

その上でフィリピンとしては外国人労働者の規制や制限をしないと、土地価格上昇、フィリピン人の失業者増加、税収減などにも影響がでると懸念を伝えた。



■ 中国政府がマハティール発言に反発

中国政府はこうしたマハティール首相の一連の発言に警戒感を強めており、3月8日には王毅外相が記者会見で「一帯一路政策は決して債務の罠などではなく、迅速な発展をパートナーに促すものである」と反論した。

さらに「中国が進める一帯一路政策は債務の罠であるというのは事実ではなく、パートナーとなった国々の発展を加速し利益を得ることが可能になる」とその意義を改めて強調し、マハティール首相発言の火消しに躍起となった。

東南アジア諸国連合(ASEAN)の老練政治家で対中国でも歯に衣着せずに言いたいことをはっきりと言う姿勢を貫いているマハティール首相は、対米から対中に経済や外交の基軸を移しているかのようなドゥテルテ大統領に中国への警戒を伝えたかったのではないかとみられている。

首脳会談での詳しいやり取りは伝わってこないが、そうしたマハティール首相の姿勢にドゥテルテ大統領としても「中国の罠には決してはまらない」との信念を伝えた可能性が高いとの見方が有力だ。

反発や疑念にも関わらず虎視眈々と「一帯一路」を推し進める中国の王毅外相、深謀遠慮の老練政治家マハティール首相、そしてしたたかで権謀術数とも称される独自路線のドゥテルテ大統領、3者の思惑が激しく交錯したマハティール首相のフィリピン訪問だったといえるだろう。

大塚智彦(Pan Asia News 記者)

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最終更新:3/14(木) 23:25
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