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定年した僕が、突然あいみょんにハマった理由

3/14(木) 10:01配信

現代ビジネス

定年直前にあいみょんを知った

 講談社の定年退社を1ヵ月後に控えた去年の9月、ふた回りも年下の作家と編集者と3人で食事をしたとき、2人から異口同音に「いまは、あいみょんです」と言われた。

 あいみょん、なにそれ? え、23歳の女性ミュージシャン? 
 でも、2人のアンテナを僕はとても信用しているので、さっそくあいみょんのミュージックビデオをスマホで観てみた。

 5枚目のシングル『マリーゴールド』。

 オレンジ色の半袖シャツを着たあいみょんが、路面電車の横を雨に打たれながらスケートボードで駆け抜ける。アジアのどこかノスタルジックな街角で撮影された映像は、この曲にぴったりだと思えた。

 麦わらの帽子の君が
 揺れたマリーゴールドに似てる
 あれは空がまだ青い夏のこと
 懐かしいと笑えたあの日の恋

 リフレインが胸に迫る。センチメンタルなギターの音色がたまらない。届きそうで届かない気持ち、でも前に向かっていく。すごい曲に出会った。こんな曲がいつもとなりで応援してくれるなんて、今の若者は幸せだなぁと思った。

『マリーゴールド』撮影地へ

 それから、僕の毎日がちょっぴり変わり始める。

 駅からの帰り道、花屋に寄ってみたら、おお、あるじゃないか。次の日、季節外れのマリーゴールドの苗を庭の片隅に植えた。人と食事をすれば2軒目はカラオケに行こうとねだり、『マリーゴールド』を熱唱した。前出の作家氏は月に1度自宅でワイン会を開いているのだが、そこであいみょんの話をすると、参加する若者たちとも盛り上がれた。

 毎日のようにミュージックビデオを観ていたが、あるとき、スケボーのあいみょんが追い抜いていくバスの窓に「上海××公司」と小さく書いてあることに気づいた。

 クリスマスイブの朝、僕は上海に旅立った。

 上海一の繁華街、南京路に面したホテルにチェックインする。部屋に行くより先に、フロントの若い女性に、『マリーゴールド』のミュージックビデオを見てもらう。

 彼女たちはすぐに分かった。

 上海影視楽園――中国のハリウッドと呼ばれるところだそうだ。1930年代の上海が再現されたオープンセットがあるという。チェックインもそこそこに、地下鉄とバスを乗り継いで1時間半、楽園に向かった。

 おお! ここも『マリーゴールド』! あそこも『マリーゴールド』! 

 ミュージックビデオの風景が、つぎつぎに僕の目の前に現れる。

 小さな声で歌いながら、至福の時間を過ごした。ここまで来たあいみょんファン、きっとオレだけだぜ! 若者にはできないオトナ旅だぜ! 

 夕暮れが迫ってきた。楽園の入り口近くの小吃店で、ビールと焼きそばの祝杯を挙げた。

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最終更新:3/14(木) 10:15
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