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理論を実証するために練習があることを指導者は分かっているのか?/廣岡達朗コラム

3/15(金) 11:01配信

週刊ベースボールONLINE

物事の本質をどう教えるか

 巨人の鈴木尚広・一軍外野守備走塁コーチが、自らの走塁の極意を若手に伝授しようと、風船やメディシンボールを使った指導をキャンプで取り入れていた。

 私の野球理論の基になっているのは中村天風師が唱えた「臍下丹田(ヘソの下にある気が集まるところ)に力を入れよ」だ。盗塁に関していえば、重心は下にあってこそ全身を動かすことができる。指導とは、枝葉ではなく、物事の本質をどう教えるかだ。

 鈴木コーチの指導に関しては、何もしないよりはいいとは思うが、さてどういう結果が出るか。コーチの教えを実戦に生かさなければ練習のための練習に過ぎない。

 キャンプを見ていても、いまの選手はわれわれの現役時代の何十倍も教わっている。にもかかわらず、ゲームにつながっていないケースが大半だ。ただ形式的に「やりました」というだけに過ぎない。

 しかも、故障者が多い。なぜ、キャンプインして最初は何事もなかった選手が1週間、10日して肉離れを起こすのか。私には理解できない。

 われわれの時代は「お前、痛いか。痛くなって、そこから上に行くんだよ」と教わった。いまの若い選手は、少し筋肉が張った状態を痛いと言う。お前の痛さはケガによるものじゃないんだよ。そうコーチは言うべきだ。

 前回も書いたが、全体ランニングで、グラウンドを1周しかしない。その点、400勝の金田正一はロッテの監督時代に「走れ、走れ」とやった。私が西武の監督時代にも、選手と一緒になって走った。南海から移籍してきた片平晋作など「西武は走らせるなあ」と嘆いていた。冗談じゃない。南海が走らせていないのだ。監督が一緒に走るので、選手も手を抜く暇がない。選手の先頭になって走る指揮官がいま、いるだろうか。ランニングで汗をかいて着替える選手が何人いるだろうか。

 もうひとつ気づいたのは、笑顔が必要以上に目立つことだ。雰囲気が明るいのは悪いことではない。しかし、笑っていいときと笑ってはいけないときのケジメは付けるべきだ。稽古中に笑っているバカがどこにいるか。優勝チームならまだ分かる。下位に沈んでいるチームが和気藹々としたムード? 私に言わせれば、ふざけているとしか思えない。

 その点、ヤクルトは昨季、宮本慎也ヘッドコーチなど首脳陣が現場に厳しいムードを持ち込み、前年最下位から2位という結果を出した。やはり練習は嘘をつかない。

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