ここから本文です

パワハラ問題を乗り越えた企業の「使える体験談」3事例

3/15(金) 6:05配信

サライ.jp

社会問題として取り上げられる、パワハラ。どんな職場でも起こりうるこの問題の対策について、事例を参考に対策を考察するのは、非常に有益なことであろう。

【ビジネスの極意】「新卒社員」をつぶす上司の対応

リーダーシップとマネジメントに悩む、すべてのビジネスパーソンのためのノウハウサイト「識学式リーダーシップ塾」から、パワハラ問題とその解決策の事例を学んでみよう。

* * *

厚生労働省の「職場のパワーハラスメント対策取り組み好事例集」に紹介されている事例が、大変勉強になる

企業の人事系の部署の社員のなかで、厚生労働省が作成した「職場のパワーハラスメント対策取組好事例集」が密かに話題になっています。パワハラを乗り越えた企業の「体験談」がつづられていて、社内のハラスメント問題に取り組む担当者には有効な資料となるでしょう。

同省のサイトに公開されているので誰でも入手できます[1]。

厚生労働省の資料といえば法律用語が並ぶ難解なものや総花的なものなど、ビジネスシーンでは使いにくいものもありますが、この「パワハラ対策事例集」は違います。実にわかりやすく実務的かつ実践的です。

例えばある企業のパワハラ対策事例には、次のように記されています。

「創業者である代表の判断や意思決定を直感的に理解できる古参社員と、そうではない社員のあいだの溝が生まれる危険性も増してきていた」

このような赤裸々な文章が随所にみられ、読みごたえもあります。

このパワハラ対策事例集に掲載されている50事例はどれも示唆に富む内容ですが、そのなかから3事例をピックアップして紹介します。

さらにそこに、著者の考察を加えてみます。

30人の企業のよい社風が一瞬で崩壊した【事例1】

最初に紹介したいのは、東京都にある従業員30人のサービス業A社のパワハラ対策事例です。A社は業種を公表していませんが、その業界では老舗と呼ばれ、企業ブランドを確立しています。少数精鋭の企業といえるでしょう。

この会社の特徴
以前のA社には、仕事の進め方でも製品の品質管理でも、社員が自由に意見をいえる雰囲気がありました。それは、「従業員たちが意見をぶつけないとよいものはつくれない」という精神が根づいていたからです。

ところが経営環境の変化や人の入れ替わりなどを経て、会社の雰囲気が変わっていってしまったのです。

どのようなパワハラが起き、どのように解決したか
A社にパワハラが横行する前に、「打ち合わせが静かになった」と感じる社員がいたといいます。自由闊達な議論ができなくなったことが、パワハラの兆候だったわけです。

A社には従業員が30人しかいないので、全員が知り合いになります。少人数の組織は、雰囲気がよいと強いチームワークを生みますが、雰囲気が悪化すると一転して「疑心暗鬼集団」に変わってしまいます。

A社はまさに、少人数組織のメリットがデメリットに変わってしまったのです。

ではなぜ社内の雰囲気が悪化してしまったのでしょうか。

同社の分析では、社長の判断を直感的に理解できる古参社員と、そうではない社員の間に溝ができたことが原因でした。

社員たちの意識の溝が「土壌」になり、いじめや嫌がらせの「芽」が出て、パワハラに「成長」したのです。

事態の収拾に乗り出したのは、社長自身でした。

A社の社長はこれまで、職場のマネジメントは職場長に任せるスタンスでしたが、それをあらためました。

まずパワハラ防止研修を実施し、社員たちの意識改革に乗り出しました。そして就業規則を社会保険労務士の監修の下つくりかえ、「パワハラ防止」の文言を入れたのです。

さらに罰則規定やパワハラを監視する委員会などの対策を矢継ぎ早に打ち出すことで、会社の不退転の決意を示したわけです。

小さな組織ゆえに「いわずもがな」で進んでいたところを、はっきり言葉に出してパワハラ防止対策に乗り出しました。

こうした取り組みの成果が出て、「会社をハッピーな場所にする」「ストレスなく働けるようにする」「仕事をやり遂げたときにみんなで喜びあおう」という機運が再び盛り上がってきました。

【考察】この事例からこう学びたい
A社の事例からは、非パワハラ職場がパワハラ職場に変わるメカニズムがわかります。

雰囲気のよい職場は、コミュニケーションが濃厚であることが多いでしょう。濃厚なコミュニケーションは普通は強みになりますが、歯車が狂うと他人に対する強い関心があだになり軋轢に変わってしまうのです。

また、トップに近い存在のメンバーがグループを形成すると、強い権限を持つようになり、それがパワハラのエネルギー源となってしまうこともわかります。

「虎の威を借りる狐」を生んでしまうのです。

A社は中小企業ですが、同社が残した教訓は大企業にも通用するはずです。

従業員3万人の大企業でも、1つの仕事を3万人でするわけではありません。30人の職場が1,000個集まったのが大企業だとすれば、いずれかの職場が「A社化」する可能性は十分あるのです。

1/4ページ

最終更新:3/15(金) 6:05
サライ.jp

こんな記事も読まれています

あなたにおすすめの記事