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ストーンヘンジ時代の豚パーティー、全島イベントだった、研究

3/15(金) 17:05配信

ナショナル ジオグラフィック日本版

全域から人が集まる初の「汎ブリテン島」集会と判明、英国

 4500年前の宴の食べ残しであるブタの研究から、意外なことが明らかになった。ストーンヘンジ周辺にある先史時代の祭祀場に、ブリテン島全域から人々が集まっていたのだ。この論文は学術誌「Science Advances」誌に3月13日付けで掲載された。

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 新石器時代後期(紀元前2800年~前2400年頃)には、ブリテン島南部のダーリントン・ウォールズ(ストーンヘンジを築いた人々が住んでいたと考えられている場所)やマーデン(ブリテン島最大の環状遺跡)などの祭祀場で大規模な宴会が開かれていた。

 ダーリントン・ウォールズの発掘調査では、冬の間に大規模な宴が開かれ、大量の豚肉と少しの牛肉を焼いて食べていたことが分かっている。発掘された8500点の骨を分析した結果、ブタとウシの割合は10:1だった。

 この地域のほかの祭祀場遺跡からもブタの骨が大量に出土していることは、新石器時代後期のブリテン島南部で、ブタ宴会の習慣が広まっていたことを強く裏付けている。こうした宴の目的が、(コミュニティーのバーベキューパーティーのように)地元の人々の親睦を深めることにあったのか、あるいは、近隣との同盟関係を強化することにあったのかはまだ分かっていない。

 そこで今回、ブタの骨を新たに分析したところ、予想外の結果が判明した。祭祀場とそこで振る舞われたごちそうが、ブリテン島の巨大な交流網のかなめになっていたのだ。ここまで交流が深く、社会が複雑だったとは、誰も予想していなかった。

ブタの骨は語る

 科学者たちは近年、人間や動物がすんでいた土地の情報が分かるストロンチウム同位体分析によって、宴に参加した人々の広がりを特定しようとしている。ストーンヘンジで火葬された人間の遺体と、ダーリントン・ウォールズから発掘されたウシの骨についての分析結果は、どちもかなり遠いところから(なかには今日のウェールズにあたる場所から)祭祀場にやって来たことを示唆していた。

 けれどもこれまで、ブタの骨の同位体分析を行おうとする研究者はいなかった。牛は遠くから連れてこられるのに対し、長距離の移動が苦手なブタは祭祀場の近くで飼われていたはずで、祭祀の参加者がどこから来たかを知る手がかりにはならないと考えられていたからだ。しかし、ブタを遠くから連れてくることは本当に不可能なのだろうか?

「正直なところ、豚の骨を分析して、人間の移動について何も分からなかったらどうしようと思っていました」と、論文の筆頭著者で英カーディフ大学の考古科学講師のリチャード・マジウィック氏は打ち明ける。

 研究者たちは今回、4カ所の新石器時代後期の遺跡(ダーリントン・ウォールズ、マーデン、マウント・プレザント、ウエスト・ケネット・パリセード・エンクロージャー)から出土したブタの骨131点について同位体分析を行った。結果、そこで食べられたブタの大多数が、現地で育てられたものではなく、ブリテン島各地から連れてこられたものであることが明らかになった。その距離は少なくとも50kmで、550km以上のこともあり、ウェールズやスコットランドから連れてこられたブタもいた。

 新石器時代の祭祀場にブリテン島全土から人々が集まってきていて、なかにはかなり遠くからも来ていたことは、宴が開かれた祭祀場が、地元や近隣の会合だけでなく、歴史上最初の「汎ブリテン島」イベントの会場だったことを示している。

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