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「手術後わいせつ事件」乳首をぬぐった鑑定資料は廃棄されていなかった

3/15(金) 19:27配信

文春オンライン

 東京都足立区の病院で2016年、手術直後の女性患者・A子さんの胸を舐めたなどとして男性医師(43)が準強制わいせつ罪に問われた事件で、12人の弁護士による被害者支援弁護団が3月15日に結成された。男性医師には東京地裁で無罪判決が出たが、検察はこれを不服として控訴していた。

【図】被害者・A子さんの証言をもとにした事件時の状況

鑑定資料はいまも科捜研にあります

 A子さんの代理人を務める上谷さくら弁護士は、東京地裁内の司法記者クラブで会見を開き、「あまりに雑な判決だったこと、そして被害者バッシングがひどいことから、弁護団が結成されました。私も国選弁護人ですし、みなさん無償です。被害者からも『より多くの弁護士に支援してもらえるのであれば、ありがたい』と言われています」と述べた。

 無罪判決のポイントの一つとして、被告のDNA鑑定に使用された抽出液の残りが廃棄された件が問題視され、判決文において「非難されるべき行為」とされている。この点について弁護団の一員で、医療訴訟なども数多く手がける高橋正人弁護士が語った。

「鑑定資料を全量廃棄した、つまり再鑑定ができないかのように判決文に書かれていますが、それは間違いです。鑑定資料はいまも科捜研(警視庁科学捜査研究所)にあります。再鑑定も可能です。ただし、(一審では)被告側は再鑑定を求めていません」

 警視庁刑事局長発(平成22年10月21日付)の「DNA型鑑定の運用に関する指針の改正について(通達)」によれば、「当該資料の残余又は鑑定後に生じた試料の残余は再鑑定に配慮し、保存すること」とある。本件において、この通達は守られていたのだろうか。

一番大切なのは再現可能性を残しておくこと

 高橋弁護士が解説する。

「今回の事件では『資料』は乳首、『試料』は乳首をぬぐったガーゼになります。同じ読みなので紛らわしいですが、そのどちらかを保存すればいい。もちろん乳首をそのままの状態で残すわけにはいかないので、洗ってしまうしかありません。

 実際にどうやって鑑定をしたかと言えば、まず乳首をぬぐったガーゼをはさみで切って、半分を保管しておきます。そして、切ったガーゼから糸を計4本抜き出して、アミラーゼを抽出するわけです。4本を抜いた残りからDNAを検出します。ここでは(被告)本人のDNAを検出できました。したがって、アミラーゼも本人のDNAにもとづくものだと言えます。アミラーゼとは、唾液に含まれている消化酵素のこと。最終的には抽出液を作って、アミラーゼを抽出したのです。

 問題となっている『全量廃棄』とは、この抽出液を廃棄しただけ。半分に切ったガーゼ、すなわち試料は残っている。判決は『抽出液を残せ』と言っているが、(実験の)結果しか出ていないものを残す意味がない。一番大切なのは経過です。他の人が同じ条件で再実験をしたら、同じ結果が出るための再現可能性を残しておかなければいけない。そして、本件では試料のガーゼは残っているんです。裁判官はこの点を完全にスルーしていて、きわめて非科学的な判決だと私は思っています」

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最終更新:3/15(金) 22:21
文春オンライン

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