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「日本の保育無償化は誰も幸せにならない」といえるこれだけの理由

3/15(金) 10:00配信

現代ビジネス

 いよいよ来年度2019年10月の消費税アップと同時に、「幼児教育・保育無償化」がスタートすることになっています。そのための「子ども・子育て支援法」改正案についての審議も、3月12日の衆院本会議で始まりました。

 すでに新年度開始まであと2週間。「無償化」は来年度半ばからのスタート予定ですので、本来であれば、すでにその運用について詳細まで決まっていなければならないのですが、制度の導入には「子ども・子育て支援法」の改正が必要で、正式には3月末に国会を通過した後に決まります。そこで、現段階では細かい運用についてはまだ定まっていないところも多くあります。

 しかし、現段階で決まっていることをみただけでも、今回の「無償化」によって、逆に親が支払う金額があがったり、保育需要がさらに増えて急激に待機児童が増えたり、ますます保育士不足が進んだり……といった心配が多分にあるのです。 

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そう語るのは、保育についての著書も多く書いているジャーナリストの猪熊弘子さん。来年10月からスタートする予定のこの政策、内容をみると危ういことばかりなのだという。
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世界での「幼児教育の無償化」とは

 今回、日本で初めて導入される「幼児教育無償化」ですが、すでに世界の先進国の多くがすでに無償化を行っている実態があります。たとえば、イギリスでは2010年からはすべての3~4歳児(5歳から就学)に対して、週15時間、年38週分を上限に無償化が行われており、3~4歳児の97%がカバーされています。さらに2014年からは低所得家庭(年収約240万円以下)の2歳児に対しても無償化が行われています。

 フランスでも3~5歳の子どものほぼ全員が公立の幼稚園である「保育学校」(エコール・マテルネル)に通っており、その利用料については無償化されています。他の多くの国でも、義務教育に入る前の1年間の幼児教育の無償化が進められています。それは、たとえば経済学者ヘックマンらの研究から、より良い「幼児教育」への投資が子どもの発達にとって良い影響を与え、貧困問題の解決にもつながり、将来にわたり国に経済的なメリットを与えることになるというエビデンスが導き出されたことによります。

 無償化によって教育の機会均等を保障し、家庭が貧しいために「幼児教育」を受けることができない子どもを減らすことが、社会にメリットを与えると考えられているのです。そのための「幼児教育」は、当然、質が良いものでなければならず、質の向上のための努力も同時に行われます。それが「幼児教育無償化」の意義なのです。

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最終更新:3/15(金) 16:05
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