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日本経済は正念場、米FRB発「ハト派ドミノ」で深まる日銀の苦悩

3/15(金) 19:50配信

ダイヤモンド・オンライン

 日銀は3月14・15日の会合で金融政策を据え置いた。一方、声明文においては、足もとの景気認識では「輸出・生産面に海外経済の減速の影響がみられる」との文言を追加し、判断の下方修正を行うとともに、先行きに関しても「拡大基調が続く」から「緩やかな拡大を続ける」へと文言変更が行われた。 

 すでに発表された指標でも日本経済の厳しい状況は確認されている。1月の鉱工業生産指数は前月比-3.7%と市場予想を大きく下回る内容となった。内訳では前月比で電気機械が-10.3%、電子部品・デバイスが-8.4%、汎用・業務用機械が-6.4%と急減をみせている。

 1月の貿易統計では中国向け輸出が前年比-17.4%と大幅に減少していることや、決算発表時における日本企業のコメントから考えても、中国景気の減速が日本にも波及してきていると考えるのが自然だろう。

 中国は3月5日から開催された全人代で、製造業の増値税(付加価値税)引き下げなどをはじめとした2兆元規模の減税を打ち出した。しかし、この程度では景気を下支えこそすれ、浮揚させるほどの規模ではなさそうで、しばらく中国向け需要は弱い状況が続きそうだ。

 加えて、日本の実質国内総生産(GDP)は2018年10~12月期で前年比+0.3%にとどまっており、世界経済が強い成長をみせた昨年1年間ですらほとんど成長していなかったことが明らかになっている(2018暦年+0.8%成長の大部分は2017年後半に生じたプラスのゲタが原因)。

 今後は消費増税前の駆け込み需要によって景気はある程度下支えされるだろうが、特に増税実施後の年度後半以降に景気が盛り上がるパスは描きにくくなっている。

 声明文では「消費者物価の前年比は、マクロ的な需給ギャップがプラスの状態を続けることや中長期的な予想物価上昇率が高まることなどを背景に、2%に向けて徐々に上昇率を高めていく」との表現は維持されているものの、先行きの景気動向を考えると、需給ギャップのプラス幅が再度縮小、もしくはマイナスに転じ、物価上昇のモメンタムが途切れるリスクが意識される。

● ECBも豪加中銀もハト派色強める 緩和余地小さい日本は不利な状況

 このような状況下では、物価上昇は為替市場における円安進行からの波及経路に頼らざるを得ない。しかし、そこで障害になるのが米連邦準備理事会(FRB)の金融引き締めに対する慎重姿勢だ。

 FRBのパウエル議長は昨年12月の連邦公開市場委員会(FOMC)後の記者会見で「バランスシートの縮小で大きな問題は生じていない」と言い放ち株式市場の暴落を招いたが、年明け1月4日の講演では「バランスシートの縮小ペースを調整する用意がある」とハト派へと方針を転換した。 

 また、かつてFRBはバランスシートを2.5~3兆ドルまで縮小させ、超過準備預金をゼロまで減らすことも視野に入れていた。しかし、最近では1~1.2兆ドル程度の準備預金を維持し、バランスシート縮小を年内に終了する方針へと転換している。

 これを前提にして通貨などの他項目を含めるとFRBのバランスシートは3.6兆ドル程度までしか縮小せず、その後は通貨供給量の伸びに合わせて再度拡大へと転じる公算だ。

 さらに、最近話題となっているのがFRBの金融政策枠組みの見直しである。2月22日にシカゴ大学主催のマネタリーポリシーフォーラムというイベントが行われ、FRBのクラリダ副議長、クオールズ副議長、ウィリアムズ・ニューヨーク連銀総裁、ブラード・セントルイス連銀総裁、デイリー・サンフランシスコ連銀総裁、ハーカー・フィラデルフィア連銀総裁という、そうそうたる面々による議論が展開された。

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