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遺伝性がんの発症リスク、検査で把握 保険適用も

3/16(土) 10:12配信

NIKKEI STYLE

乳がんや卵巣がんの一部には遺伝的な要因が強く発症に関わるとされるものがある。こうした場合は事前の遺伝子検査でリスクが分かり、いち早く手術で卵巣などを摘出すれば発症を予防できる。2018年4月には遺伝子検査との組み合わせで国の保険を使える乳がんの新薬が登場。今後、検査の利用が進む可能性がある。ただ検査で近親者の発がんリスクが判明する場合もある。まずは家族や専門家と相談し、検査や治療の方針を決めよう。
東京都在住の40代女性は14年にがんと診断され、手術などで治療した。3人の子どももがんにならないかと心配になり、遺伝性の乳がんや卵巣がんのリスクに関わる2つの遺伝子を調べる血液検査を受けた。
がんのリスクが高まる遺伝子の変異があると判明。遺伝性のがんに詳しいカウンセラーらと相談し、卵巣やがんではない方の乳房を切除してリスクを抑える手術を受けた。現在は通院しながら育児している。
乳がんや卵巣がんの一部には遺伝が強く関係すると考えられるものがある。中でも多いのが、特定の遺伝子の異常が原因となる「遺伝性乳がん・卵巣がん症候群(HBOC)」だ。HBOCの人は、一生で乳がんにかかる確率が41~90%と通常の6~12倍になる。
がんの発症は環境などによる要因もあり、乳がんの全てが遺伝性ではない。年間で約9万人が乳がんと診断されるうち、明らかに遺伝性といえるのは5千人程度にとどまる。

■50%の確率で継承

HBOCの約8割が「BRCA1」と「BRCA2」という2つの遺伝子の変異が原因となる。親から子へ50%の確率で受け継がれる。がん研有明病院(東京・江東)などは00年ごろに変異の検査を始めた。
検査は主に乳がんや卵巣がん患者の一部が受ける。まずはカウンセラーなどの専門家へ相談して決める。相談にかかる費用は1時間で数千円程度。専門家は受診者の家族の中にがんになった人がいるかや、発症年齢などを尋ねる。
専門家が調べることでHBOCである可能性が高まったら、検査や発がんリスクを下げるための手術の説明を受ける。近親者が同じ遺伝子変異を持つ可能性があり「結婚前の娘を持つ母親など、検査をためらう人も少なくない」(がん研有明病院の吉田玲子医員)。
病院で採取した血液中の細胞の遺伝子を調べ、変異の有無を検出する。結果が分かるまで3週間かかる。通常の検査で分からない場合、遺伝子の大規模な変化をさらに詳しく調べる。
変異が見つかれば手術を受けるか検討する。がんができた乳房はすべて切除する。もう片方のがんがない乳房や卵巣などの扱いは医師と相談して決める。
がんができていない乳房を切除すれば乳がんのリスクを9割減らせる。卵巣と卵管を切除すると、卵巣がんのリスクを9割減らせ、生存率も上がる。ただ「変異が見つかった人のうち、卵巣、卵管や乳房を切除する人は一部にとどまる」(吉田医員)。日本ではまだ予防手術は盛んではない。
日本では高額な費用も遺伝子検査や予防手術の普及の妨げになっている。遺伝子検査は約20万円、手術は卵巣、卵管で70万~80万円、片方の乳房で50万円以上かかる。近親の場合は遺伝子の特定部分だけを調べるため3万~4万円で済む。それでも国の保険が使えないため全額が自己負担だ。

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最終更新:3/16(土) 12:15
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