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滝はどうやってできるのか、形成メカニズムに新説

3/16(土) 10:30配信

ナショナル ジオグラフィック日本版

流れさえあれば自然にできる、初めて実証

 滝はどうやってできるのか?

 これまで多くの科学者は、滝の形成には何らかの外部要因が必要と考えてきた。例えば、水が落ちる段差は、地震でできたのかもしれない。これは速いプロセスだ。一方、海面の上下や、異なる種類の岩が異なる速度で浸食されるなど、非常に遅いプロセスもあるとされてきた。

ギャラリー:世界の美しい滝 写真28点

 しかし、3月13日付けで学術誌「ネイチャー」に発表された論文によると、そうした劇的な変化や外からの力は必ずしも必要ないのだという。川の流れさえあれば、川底が1種類の岩でできていたとしても、岩盤が削られて急勾配ができ、自然に滝が形成されることが示唆された。

「ひとりでに出来ることもあるんだ」

「これまでは地質や滝の情報から地球史上の変化を読み解けるとされてきましたが、新たな形成メカニズムによってそう考えるのは難しくなります」と、今回の論文の著者ジョエル・シャイングロス氏は話す。同氏は現在、米ネバダ大学リノ校の助教を務めている。

 今回の研究はまだ予備段階で、研究室レベルでのシミュレーションに過ぎないと同氏は注意をうながす。ただし、科学者が地形の浸食の要因を解釈する際には、これまでのやり方を見直す必要があると同氏は言う。

「この論文は、まるで『ちょっと待つんだ、みんな。これらの地形は、必ずしも何かの外部要因や局所的要因で作られたわけじゃない。ひとりでに出来上がることもあり得るんだ』と言っているようです」と、今回の研究には関わっていない米アイダホ州立大学の地形学者ベン・クロスビー氏は話す。

実験室で川を再現

 研究室で模擬的な川を作って実験してみると、水の動きによって起伏ができ、水たまりが形成されうることは、以前からわかっていた。これらの水たまりから、やがて滝の形成が始まる可能性があるという説もあった。シャイングロス氏の研究チームは、この説を検証したいと考えた。

 自然界での滝の形成プロセスは極めて遅く、流れる水が川底の岩盤を削り取る速さは、人の爪が伸びる速さの数分の1ほどでしかない。そこで、今回の研究では岩盤の代わりに、発泡ウレタンを使って実験を行った。この材料は浸食されるのは早いが、さまざまな種類の岩盤の代わりになる。

「結果が出るまでに何十年あるいは何千年も待つ必要はありません。博士論文のテーマにできるほどの時間で実験でき、研究室で実際に変化を観測できるのです」とシャイングロス氏は話す。

 実験では長さ7.3メートル、幅30センチほどの水路に発泡ウレタンを敷き詰めたものを用意し、20%近くの傾斜をつけてから、土砂混じりの水を大量に流した。この土砂が、溝の形成に重要な要素だったと同氏は言う。流水中の土砂が、やすりのように働き、下にある岩石層を削り取るからだ。

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