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ネット広告は「虐待の被害者」すらターゲットにする恐れがある

3/16(土) 14:10配信

WIRED.jp

欧州のプライヴァシー擁護の活動家たちは、インターネット上のターゲティング広告の裏で行われている複雑な入札のプロセスが、消費者のプライヴァシーを脅かしていると考えている。企業はウェブページに広告を出すにあたって、そのページを閲覧するユーザーについて知っていることをまき散らしている。それには、その人がどんなコンテンツを見たり、聞いたり、読んだりしているかという、機密として扱う必要があるかもしれないデータも含まれているからだ。

グーグルの「GDPR」違反から見えた、個人データ収集を巡るいくつかの課題

広告を広告枠に割り当てるプロセスにおける個人データの扱い方が、2018年5月に施行された欧州連合(EU)の消費者のプライヴァシーを守る厳しい規則「一般データ保護規則(GDPR)」に違反しているとして、ポーランドと英国、アイルランドで、1月21日に訴訟が起こされた。

この訴えは、アドテック業界の主要企業が、広告主をその広告に合うユーザーやコンテンツに瞬間的にマッチングさせるために採用しているカテゴリーに焦点をあてている。ほとんどのカテゴリーは、「テスラ・モーターズ」「ガジェット」といった害のないものだが、なかには慎重に扱うべき内容のものもある。

例えば、業界の規範を規定する団体であるインタラクティヴ・アドヴァタイジング・ビューロー(IAB)が合意しているカテゴリーのリストには、近親相姦/虐待支援、ゲイ・ライフ、ヘイト的なコンテンツ、薬物乱用、AIDS/HIVといったものもある。

ネットでの行動が筒抜けに

プライヴァシー重視のウェブブラウザー「Brave」の開発元であるブレイヴ・ソフトウェアが牽引するプライヴァシー擁護派によると、ユーザーのウェブでの行動を追跡するクッキーのようなテクノロジーによって、これらのカテゴリーのラベルがユーザーと結びつけられ、プロファイルに組み込まれていくのだという。

ブレイヴの最高政策責任者(CPO)であるジョニー・ライアンは、昨年12月に発表された英国のシンクタンク新経済学財団(New Economics Foundation)の報告書を引用し、次のように指摘する。「ネット上で何を読み、何を視聴しているかを示すラベルは長期間にわたってあなたに貼りついたままになります」

この報告書によると、広告業界の企業は英国の平均的なネット・ユーザーのプロファイルを1日164回公開している。プライヴァシー擁護派によると、これらのプロファイルはその後、GDPRの厳しい規則に従うことなしに、インターネット広告環境のなかで多くの広告主にたらい回しにされるという。

ブレイヴの弁護士であるラヴィ・ナイクは告発書のメールで、IABのいくつかのガイドラインが、「『そのデヴァイスの人間のユーザーの』個人的な識別子、つまりユーザー属性を、入札のリクエストに含ませることを『強く推奨している』と示唆している」と指摘している。

ニュースクール大学メディア・デザイン学教授のデイヴィッド・キャロルは、データ分析を手がけていたケンブリッジ・アナリティカ[編註:フェイスブックの個人情報流出問題で情報の不正取得が疑われ、2018年5月に破産申請]から、自分のデータを回収することを要求して注目されている。ナイクはキャロルの代理人も務めている。

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最終更新:3/16(土) 14:10
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