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難関校に合格しても落ちこぼれに?行ってはいけない進学塾とは

3/17(日) 8:00配信

幻冬舎ゴールドオンライン

進学率だけをウリにしている進学塾は、子どもを潰す

では、小学生にとって今や、学校と並ぶ教育機関となっている塾では、どのような教育が行われているのでしょうか。灘中学校や開成中学校など日本のトップ校に、毎年多くの合格者を出している進学塾があります。

そんな塾で灘中学校への進学を目指すクラスでは、例えば灘中学校の第一日目の算数の入学試験問題を30分で解かせます。実際の入試では試験時間は60分、問題数は13問あります(2013年度)。

これを30分で解くためには、単純計算で1問にかけられる時間は2分ちょっとです。しかも、その問題は、例えば次のような難問です。

1個の値段が180円の和菓子があります。また、和菓子3個の袋詰めは1袋の値段が500円で、和菓子10個の箱詰めは1箱の値段が1900円です。ある日の売上は19900円で、和菓子は全部で107個売れました。この日、袋詰めは全部で何袋売れましたか。

この年の入試問題の中では、最も易しいと思われる問題をピックアップしてみました。それでも一読しただけでは、問題の意味を理解することさえ難しいのではないでしょうか。こんな問題を2分ちょっとで解くためには、どうすればよいか。いちいち考えなくても解けるようひたすら訓練するのです。

つまり、問題を見た瞬間に、解き方が頭に浮かぶようになるまで、練習を繰り返すのです。そのために算数なら、入試に出そうな問題を公式化し、解くためのテクニックを叩き込みます。テクニックを身につければ、とりあえず塾での成績は上がるでしょう。何回も同じ問題を解いていれば、灘中学校の入試問題を30分で解けるようになるかもしれません。

成績が上がり、難問を解けるようになるのだから、それは喜ばしいこと。本当にそう言ってしまってよいのでしょうか。実際の灘中学校の入学試験(第一日目・算数)の試験時間は、60分あります。ですから、本当ならこんな問題を1問2分ちょっとで解く必要はないのです(といっても、5分弱で解かなければならないので、極めてシビアな入学試験であることに変わりはありませんが)。

灘中学校の入学試験は、二日間にわたって実施されます。算数は二日目も試験があり、こちらは5問ですが、一日目の問題よりもさらに難易度は高くなります。その出題意図は先に書いたように、頭の柔らかな子どもを選ぶことにあります。そして自分の頭で考える力のある子どもであれば、一日目の問題についても、初見で30分以内に解くことはできなくとも、60分もあれば解けるのです。例で示した問題なら30秒で解くかもしれません。

では、なぜ、進学塾ではあえて時間を短く切って競わせるのでしょうか。実は、そんな塾でも、いわゆるトップレベルの中学校を目指すクラスに入ってくる子どもたちの多くは、生まれつき柔らかな頭に恵まれた『1%枠』に入る子どもたちなのです。けれども、進学塾としては、例えば灘中学校に何人合格者を出したかが、翌年の生徒募集に大きく影響します。だから、一人でも多くの合格者を出したい。

そこで、頭は本来柔らかくないのだけれど、がんばる力のある子ども、暗記力に秀でた子どもたちを徹底的に鍛えるのです。 彼らに対しては、まず公式や解法のパターン、解法テクニックを、これでもかというぐらいたくさん覚え込ませます。大手進学塾が独自に作っている教材ともなれば、驚くべき数のテクニックが掲載されています。可能な限り短時間で、正解を導き出せるように、ありとあらゆる過去問を分析し、パターン化しているのです。

そして子どもたちには、詰め込み教育をみっちり行います。この問題にはこの解き方、別の問題にはまた別のテクニックといった案配で、問題のパターンに応じた解法を覚え込ませるのです。子どもたちに求められるのは、問題を見極める能力と、それに最適な解法を記憶の中からマッチングさせて引き出す能力です。自分の頭を使って考えていては時間の無駄だといわんばかりに、塾の授業で解き方を叩き込む。

残念ですが、そんな訓練をいくら繰り返しても、頭が使われない限り、頭が柔らかくなることはありません。頭を使って考える訓練をしない限り、頭を使えるようにはならないのです。それでも見かけ上は成績が上がるのですから、子どもも保護者も喜ぶでしょう。

しかし、これこそが、子どもを考えなくする最高に危険な方法といえるのではないでしょうか。いくらがんばって問題の解き方を数多く覚えたとしても、解き方を教わっていない問題が出た時には、手も足も出ないのです。本来ならがんばり屋さんなのですから、考える訓練をさせてあげれば、必ず考えられるようになったはずです。そんな子どもたちを考えない子どもにしてしまう。これが進学塾の恐ろしさです。

もちろん、同じクラスで同じ訓練を受けていても、本来考える力を持っている子どもたちは、しっかりと考えて答えを出しています。同じ問題を解いていても、問題との向き合い方、解き方がまったく異なることにより、子どもたちが得る成果もまったく違ったものとなっているのです。

ところが、表面上の成績は、覚えてがんばる子どもでも、それなりの点数を取れる可能性があります。つまり、本来なら思考力を見極めるための入学試験を、暗記力によって突破してしまう可能性も出てくるのです。そこで悲劇が起こります。

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最終更新:3/17(日) 18:12
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