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「地球にやさしく」なんて傲慢だ~良品計画・金井氏(前編)

3/17(日) 17:00配信

日経ビジネス

 日本イノベーター大賞の大賞に選ばれた、「無印良品」を運営する良品計画の金井政明会長へのインタビュー(前編)。「無印良品とはどういったものだろうか」という問いに20年以上もの間、向き合い続けて、堤清二氏ら創業メンバーの思想を継承。シンプルで美しい、確固たる無印良品のイメージを築き上げた。その手法はまさに、イノベーションを起こすカギとして注目集めている「デザイン経営」そのものだ。

 近年は、ライフスタイルを“売る”というビジネスに注力。今年4月にオープン予定の「MUJI HOTEL GINZA」やフィンランドでの電気自動運転バス計画、地域創生など思想を実践する領域を拡大している。

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――堤清二氏の遺志を引き継いで、金井会長はデザインを経営に生かしてきました。「デザイン経営」という言葉も最近ではよく耳にしますが、そもそもデザインを経営に生かす意義はどこにあるのでしょうか。

金井政明氏(良品計画会長、以下金井氏):まず「デザイン経営」という言葉ですが、僕はよく分かりません。何がデザイン経営なんだろう、とも思いますよね。

 デザインという言葉自体の定義もいろいろあるでしょう。だから、「デザイン経営」なんて言われると、さっぱり分かりません。

 最近は「デザイン思考」という言葉もよく使われるようになりましたが、これは結局、(課題を)どう解決しようかという、考え方そのものを指すのでしょうか。そう考えると、何を解決するのか、という話がまずあるわけですので、結局は、今起きていることに対する「違和感」ということなんだと思います。

――違和感ですか?

金井氏:そう、違和感。それは違うんじゃないの? という違和感です。

 その違和感が何で生まれるかというと、僕たちは「思想」と言っているのですが、理想的なあるべき姿をイメージすることで、現状について「違うんじゃないの」「おかしいんじゃないの」という違和感が出てきて、それをどう解決したらいいんだという流れになる。これをおそらく、「デザイン思考」と言っていいのではないかという気がします。

 良品計画はある意味、消費社会が日本に入り、それが極めて商業主義的な過剰なブランド志向だったり、供給者側の論理があまりにも強かったりして、そこに一般的な市民が巻き込まれてしまっている様子に対して、「おかしいんじゃないの」という違和感を抱いたことが出発点でした。物と生活、あるいは自然がどういう関係性になったらいいのかという理想を持っていたので、「無印良品」という概念をつくり、それを具現化する商品や店舗、コミュニケーションをつくってきたのだと思います。

 その延長に僕たちはずっといるので、常にそれを考え続けることをしています。要は、デザイン思考を続けている。結果、それが「デザイン経営」とイコールになるかどうかは僕には分かりませんが、創業時からデザイン思考をやらざるを得なかった会社でした。

●グローバル経済に「違和感」

金井氏:例えば、段ボールがすごく値上がりしているという報道がありますよね。普通のお菓子や日用品など、段ボールを使う製品を軒並み値上げせざるを得ない状況だと。何で段ボールが値上がりしたかというと、中国が米国から入る段ボール原紙や古材に25%の報復関税を掛けたのが主因だと言われます。米国から買うことができなくなった中国は、日本からすごい量を買うようになり、日本で古紙の値段が上がったわけです。

 米国と中国の覇権争いの影響が出てしまっているわけですが、それを日本はある意味、傍観しているわけです。そのようなことにも、すごく違和感があります。今のグローバル経済は極めて怪しくて、国家も企業も巻き込まれて……。こういう社会でいいのかと、僕は思うんですよ。

 そのような意味で、世界の動き、社会の動きに無責任というか、当事者にならずに傍観する姿勢に、まず違和感を覚えるのです。

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最終更新:3/17(日) 17:00
日経ビジネス

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