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戸田和幸が分析するリバプールの勝因。バイエルンはなぜ「繋いだ」のか?

3/18(月) 20:20配信

footballista

 左図をご覧ください。

 バイエルンはゾーン1(自陣の1/3のエリア)からパスを繋いで前進を図ろうとするもうまく出口を見つけられずに蹴らされる場面が非常に多かったですが、時にフンメルスからハーフラインを越えていくために必要な配球ができていました。上の写真を見るとチアゴが中に入りワイナルドゥムを引き連れることで空いたパスルートにリベリが顔を出しています。サラーは勢いをつけてフンメルスにアプローチをかけているので、瞬間的にアラバが完璧にフリーになっているのもわかると思います。相手のプレッシングを理解した上でチアゴが機転を利かせスペースを作り、フンメルスもその動きを有効活用して一つ奥のリベリにパスを出しています。

 しかし最初の場面ではリベリのコントロールが大きくなりアラバへパスを出すもタイミング合わずラインを割り、2つ目の場面ではコントロールからパスまで時間がかかってしまったためにアラバに対してワイナルドゥムがアプローチする時間を与えてしまい、レバンドフスキへの縦パスはマティプにしっかりと対応されました。

 アレクサンダー・アーノルドが遅れてアプローチせざるを得ない場所・タイミングでボールを引き出すところまでできていましたが、ほんの少しのコントロールミスや1タッチでアラバに預けていれば効果的に前進が図れただろう場面で立て続けにミスをしてしまったことで、少しずつリベリのプレーから大胆さが失われていきました。

 また時折ゾーン2(中盤の1/3のエリア)まで前進できた時にチアゴやフンメルスから左へ展開する場面もありましたが、サラーがスプリントで戻りボールホルダーにアプローチしつつ、ワイナルドゥムとファビーニョのスプリントでのスライドでハーフスペースを一瞬で消し、アラバの攻撃参加とリベリのドリブル突破を抑えていたことも併せて紹介しておきます。

■ビルドアップ機能不全の理由2:中盤ハビという選択

 また両チームの中盤を見比べた時に個人的にはハビ・マルティネスのところがかなり気になりました。

 チアゴ、ハメス、レバンドフスキが動くことで生まれるスペースを使ってうまく中継役となれれば良かったですが、普段のリーグ戦でも彼自身から展開を作り出すというよりは他の選手に任せてその後の守備に備えていることが基本タスクなので、それ以上の仕事は難しかったのかもしれません。

 例えば、左上の2つの画像のうち上の1つ目の場面ならジューレから受けてラフィーニャへ、2つ目はチアゴからパスを受けてゾーン2をフリーで持ち上がれる場面ですが、どちらもハビは積極的にパスを受ける動きは見せず、ボールはノイアーまで戻っていきました。

 結果バイエルンの攻撃はキミッヒが不在だったことも影響し、ほぼ左からとなってしまいリバプールの守備が困る場面はありませんでした。

 ニコ・コバチ監督は相手がリバプールということを考えて、中盤の守備を強化するためにハビを選んだと思いますが、あれだけプレスを受けても蹴らずにプレーすることを選択したのであれば、より走力に優れ中盤から前方にかけて力を発揮でき、かつチアゴとハメスともシンクロしながらプレーできるゴレツカを起用して縦への意識を持たせた中でリバプールと対峙する方がベターだったのではないでしょうか。

 前半のバイエルンはあまりに相手のプレッシングを正面から受け過ぎてしまい、自陣から抜け出せなくなり、結局は長く捨てるボールになるケースが多過ぎました。仮に捨てるのであれば自分たちのタイミングでそれを行う必要がありますが、一番最後の選択肢として「捨てる」ことを持ってプレーしたために、出てくる相手を裏返すようなプレーを見せることは稀でした。

 ワンチャンスをものにする形で1-1で折り返すことはできたものの、かなりの劣勢だった前半だったと思います。

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最終更新:3/19(火) 10:25
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