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戸田和幸が分析するリバプールの勝因。バイエルンはなぜ「繋いだ」のか?

3/18(月) 20:20配信

footballista

■リバプールの「意図したロングパス」

 バイエルンが使う長いボールが「蹴らされた」ものがほとんどだったのとは対照的に、リバプールのそれには「意図的に蹴った」ものが多かったです。

 GKアリソンからのキックも含めたとえそれがこぼれ球ありきのものであったとしても、ボールの行く先には必ず誰かが待ち構えておりその周辺には白いシャツがしっかりサポートしていました。あくまでも前進するために必要なことを行ったのがリバプールで、バイエルンは少し「手段が目的化」してしまったようにも見えました。

 26分、バイエルンの前線守備が一休みした瞬間を逃さずにリバプールが先制します。

 それにしてもリバプールの左CBファン・ダイクが蹴る、対角DF背後へのストレートボールはとても質が高いですね。常に立ち姿が美しくいつでも蹴れる運び方ができる選手ですが、26分の先制点の場面も同様でした。ラフィーニャの外側からファン・ダイクが振りかぶった瞬間にカットインし背後へ飛び出したマネのランニングも素晴らしかったですが、そこに蹴れる選手がいてこそ受け手は走ることができますからね。最終ラインからの1本のロングパスで得点を挙げることができたのは世界トップレベルの出し手と受け手の両方がそろっていたからこそです。

 同時にノイアーの飛び出しに判断のミスがあったと個人的には見ていますが、「蹴れる選手」から「走れる選手」にボールが渡ってしまったことを総合して考えると、バイエルンの前線守備にもやや緊張感が足らなかったという言い方もできるのではないでしょうか。

■走行距離で見る、チームの闘い方

 前半思うように敵陣まで入っていけなかったバイエルンでしたが、後半に入ると効果的な前進を見せるようになりました。例えば、こちらは51分7秒からの場面。

 前半遮断されていたSBへのパスルートをSBがより低いポジションを取ることで確保。(9)レバンドフスキがより左サイド寄りにポジションを取ったことで(66)アーノルドの(7)リベリへのプレスを逆手に取り、外側レーンで(27)アラバからの縦パスを引き出すと(7)リベリも素早くサポート、一気に前進という場面です。ちなみに、この後の展開はボックス内まで運ぶことに成功しリベリがニアゾーンからクロスを入れますが、ファン・ダイクがカバーに入り止められています。

 55分手前にはジューレからのパスを受けたノイアーがレバンドフスキにロングボールを蹴り、ヘッドでニャブリへ繋ぐといった意図的にトップへ蹴るプレーが見られ始めます。一番の好機は59分30秒過ぎ、フンメルスからのロングボールに対してファビーニョの右脇にいたハメスがヘッドでリベリへ。そこからドリブルで運びラフィーニャへ叩き、もう一度右まで動いたリベリへ戻すと背後へ抜けたニャブリへ。そこから速いクロスを入れましたが、レバンドフスキにはわずかに届かず。

 バイエルンがハーフラインを越えられる回数は明らかに増えましたが、この理由はSBが低めの位置取りをしたことでCBからのパスを受けられるようになりウイングが「外切り」をして中で奪いに行くリバプールのプレスが決まらなくなったこと、またはスケジュールの影響か前半に比べるとリバプールのチーム走行距離が3km近く減少、ハイプレスの勢いが弱まったこともフンメルスとジューレが自信を持って展開を作れるようになった理由として挙げられます。

 この試合のチーム走行距離はバイエルンが112.987km(57.609/59.125)、リバプールが115.447km(59.125/56.322)、リバプールが3km近く上回っています。また、CLでのシーズンアベレージを見てみるとバイエルンが112.228kmでリバプールは110.857km。アベレージとこの試合を比較してみるとバイエルンはほぼ同じ、一方のリバプールは5km近く上回っていました(ちなみにリバプールが圧倒したホームでのナポリ戦でのチーム走行距離は118.775kmにもなっていました)。

 アベレージはあくまでも平均値ですが、この試合に向けた日程の部分で言うとアウェイチームの方が不利だったのは間違いありません。それでもCLでの平均値を大幅に上回る走行距離を記録したリバプールと、平均値とほぼ同じだったバイエルンというのは興味深いデータだと思います。

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最終更新:3/19(火) 10:25
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