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日本の労働生産性は先進7カ国で最下位 原因は「がんばってしまうこと」にあり

3/18(月) 6:00配信

文春オンライン

 昨今の「働き方改革」で残業や休日出勤が減った企業も多いとはいえ、長年、日本の労働生産性は先進7カ国の中で最下位。本書の著者のピョートルさんは、その原因は、日本人が多くの局面で「がんばって」しまうことにある、と言う。

「『がんばります』という言葉は、僕にとってポジティブな印象ではありません。どんなプロセスでやれば成果が上がるか、という話をしたい時に、『がんばります』と言う人は、努力や忍耐でしのごうとするように聞こえるからです」

 ピョートルさんは、まず日本人に「がんばらないでください」と伝えたいという。では「がんばらずに」仕事の成果を上げるにはどうすればいいか。それを可能にするのが、“10x”(テンエックス)だ。

「グーグルではスタンダードな哲学で、今の10倍の成果を出す、という意味です」

 1割、2割ではなくいきなり10倍の成果を出すなど、一見不可能に思える。しかしピョートルさんによれば、「ムダを捨て」て、「インパクトが大きい(時間あたりの価値が大きい)仕事をする」ことでそれは可能になるという。本書はその具体的な指南書なのだが、「to doリスト」はインパクトも学びも少ない作業をこなすだけになるので危険、会議後の書類は作成しない、プレゼンは他の人の自由な発想を妨げる、いっそのことメールを捨てる、などといったことが書かれており、昔ながらの職場で働いている人たちからすれば、目から鱗の話が満載だ。

「まず自分にとって必要ない作業を捨てるのは当然。その次に、作業は他の得意な人にやってもらうことを考えて、できれば自分のチームを作った方がいいです」

 とはいえ、古い体質の企業にいる人は、こう考えてしまいがちだ。「うちの上司はそんなこと許してくれない」「うちの会社ではそれが決まりだから」と。

人はできない言い訳を始めてしまう

「本当にそうですか? 会社は人の集まりです。いかに人を巻き込んで自分がやろうとしてることが皆にとって望ましいか、確認をしながら影響を与えるということが大事だと思います。それができないのは、ローカス・オブ・コントロール(「統制の所在」※社会心理学用語)の問題です。行動や評価の原因を会社や環境など外部に求めてしまうと、人はできない言い訳を始めてしまうんです。自分で壁を作らなければ、上司や会社も案外すんなり受け容れてくれるものですよ」

 ピョートルさんは人との付き合い方も徹底している。たとえばポーランドに帰郷しても、小学校の同級生とは、ただ懐かしい、という理由では会わない。お互いに話して「新たな価値を生む」と考える相手により多くの時間を割くためだ。

 ここまでするのには理由がある。ピョートルさんは自身のビジョンを「誰もが自己実現できる世界をつくること」と定めており、そのために行動しているからだ。本書の第7章では、幸せに働くためにはどうすればいいか、が説かれている。

「その答えは人それぞれのはずです。人によって性格はぜんぜん違いますからね。僕は自由を愛しますが、規律を愛する人もいます。アクションを起こして、自分が何に喜び、何に腹を立てるのか、よく知ってください。それが人生のミッションを見つける端緒になります。

『働き方』というタイトルの本ですが、働いている人だけでなく、たとえば専業主婦の方にも読んで頂ければ気付きが多いかもしれません。ミッションに従って、何をしないかを決め、そして大きなインパクトを与えることに注力すれば、どんな人でも世界に価値を与えられると思いますよ」

ピョートル・フェリクス・グジバチ/プロノイア・グループ株式会社代表取締役。ポーランド生まれ。2000年に来日し、ベルリッツ、モルガン・スタンレーを経て、11年にGoogleに入社、人材育成と組織開発、リーダーシップ開発の分野で活躍。15年に独立し、現職。

「週刊文春」編集部/週刊文春 2019年3月21日号

最終更新:3/18(月) 6:00
文春オンライン

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