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「やっと“負け犬”の効果が出てきた」酒井順子、平成30年を振り返る

3/18(月) 16:18配信

webマガジン mi-mollet

週刊現代での連載が16年目に突入したという、エッセイストの酒井順子さん。一年分の連載をまとめた本も、今年1月に発売された『次の人、どうぞ!』で13冊目になりました。週刊誌ならではの時事トピックをからめたエッセイを俯瞰すると、時代の特色が浮かびあがってきます。この新刊から見えてきたものは、「平成の終わり」。
今上天皇自らが退位を希望されて幕を下ろすことになった、平成という30年間はどんな時代だったのでしょうか?

酒井順子 1966年生まれ。東京都出身。高校生のときから雑誌でコラムの執筆を始める。立教大学卒業後、広告代理店勤務を経て執筆に専念。2004年に発表した『負け犬の遠吠え』はベストセラーとなり、婦人公論文芸賞、講談社エッセイ賞を受賞。他に『男尊女子』、『地震と独身』、『子の無い人生』、『源氏姉妹』、『ユーミンの罪』、『百年の女 – 『婦人公論』が見た大正、昭和、平成』など著書多数。最新作『次の人、どうぞ!』が好評発売中。
ミモレ掲載のインタビュー「『負け犬の遠吠え』の著者・酒井順子さんが考える『子の無い人生』(前編)、(後編)」

平成の30年間は、本格的な変化の前の助走期間

高校時代に『オリーブ』にエッセイを寄稿したことがきっかけで、文筆活動を始めた酒井順子さん。大学卒業後は大手広告代理店に就職して3年で退社、フリーランスとして執筆業に専念することになりました。そして2003(平成15)年には、『負け犬の遠吠え』を上梓。未婚、子なし、30代上の女性を“負け犬”と自虐的に定義した同書は、当事者である女性のみならず、さまざまな世代の男女に議論を巻き起こしました。

『負け犬の遠吠え』から15年、平成という時代の幕開けから30年が過ぎた今、酒井さんは平成という時代をどうとらえているのでしょうか?

「私にとっての平成は、昭和に比べるとさら~っと過ぎていった気がしています。心の柔らかい時期を生きたのが昭和で、平成はすでに大人になっていたからなのかもしれません。しかし平成という時代は、本格的な変化の前の助走期間のようなものではないかという気がしています」

酒井さんが例に挙げたのは“セクハラ”。この言葉が社会で認識されるようになり、流行語大賞に選ばれたのは1989(平成元)年のこと。当時は軽いノリで使われていたこともあり、男女ともにセクハラの本質や、なぜセクハラが問題なのかを深く理解していた人はほとんどいなかったように思います。セクハラや性的暴行の被害について泣き寝入りせずに告発する「#MeToo」運動がアメリカで巻き起こったのは2017(平成29)年。その動きは日本にも広まっていきました。つまり、日本でセクハラの認知度が深まっていくのに約30年もの歳月がかかったとも言えるのです。

「昔に比べて女性政治家が激増したわけではなく、働く女性がどんどん出世しているわけでもない。女性の立場は、平成の間に案外変わっていません。ただそれは、次の時代に大きく変化するため、この30年間をかけて少しずつ力を溜めてきた、ということではないかと思っています」

最近、若い世代に『負け犬の遠吠え』効果があらわれ始めていることに気づいたという酒井さん。

「今の40代以上の女性は結婚や出産を先延ばしにしてきた人が多いのですが、20代は早く結婚したがっています。上の世代を見て、早いうちから仕事と子育ての両立などをシミュレーションしていると、『早く結婚しなくては』と思うのでしょう。でも中には考えすぎて、結婚をする前から、仕事と子育ての両立への不安に怯える人も。平成という時代の中で、人生も、子どもを産める時期も有限であるという感覚は、確実に広がってきました」

現在52歳である酒井さんは、50歳になったときに「イメージしていた50歳像とは違う!」と感じたとのこと。かといって、自分が将来どんな人間になり、どういう人生を歩むのかといった明確なビジョンがないままだったとも振り返ります。

「50歳は、もっと立派な存在なのかと思っていました。でもそのことを反省するでもなく、かといって昔がとても良かったと思うこともなく……。人生100年時代だからこそ、そのど真ん中で漂っているような感覚なのかもしれません」

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