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第三のビール戦国時代 大ヒット本麒麟は味を刷新、金麦は「麦のうまみ」で対抗

3/18(月) 7:00配信

日経クロストレンド

 低迷が続くビール類飲料で、にわかに活気づいているのが第三のビール(新ジャンル)だ。2018年に大ヒットしたキリンビールの「本麒麟」は、新テレビCMに俳優・江口洋介と鈴木京香を起用。13年ぶりに大刷新したサントリー「金麦」も木村拓哉を新起用、“戦国時代”に向けプロモーションを強化している。

【関連画像】2019年2月26日の新CM発表会に登場した新CMキャラクターの木村拓哉。パッケージデザインも手書き風メッセージに変え、「幸せな食卓」を表現

 ビール類(ビール・発泡酒・新ジャンル)飲料の市場が前年度比で14年連続下がり続ける中、新ジャンルが売り上げを伸ばしている。ビール大手5社が発表した、2018年のビール類飲料の課税済み出荷量では、プライベートブランド(PB)を含めた新ジャンルは1億4983万ケースと、前年に比べ3.7%増え、5年ぶりにプラスに転じた。

 その立役者となったのが、ビールに近い味わいを追求したキリンビールの「本麒麟」。18年3月に発売されるや、一時は入手困難なほどの売れ行きで、17年にアサヒビールに明け渡した新ジャンルのトップシェアを1年で奪還した。19年1月には累計販売数量が1000万ケースを突破。過去10年のキリンビールの商品で最速という。

 本麒麟のヒットに続けとばかりに、ビール大手は今年に入ってからキレや辛口をウリにした新商品を投入して、既存商品の刷新を図っている。おのずとプロモーションにも熱が入る。王者・本麒麟と、13年ぶりの大幅刷新を果たしたサントリービールの「金麦」のプロモーション戦略に迫った。

●新規ユーザーの獲得に注力する本麒麟

 本麒麟は19年1月に味を刷新。ドイツ産ホップを増量することで、よりビールに近いコクを実現したという。2月26日には、新テレビCMを発表し、“ビールらしいおいしさ”に進化したことをアピール。俳優・江口洋介と鈴木京香が新旧の本麒麟を飲み比べるという分かりやすい内容で、味が進化したことをストレートに消費者に伝える。

 加えて、2~3月は書店など、普段アルコール飲料に触れることのない場所で5万本規模のサンプリングをしたり、ツイッター上での口コミキャンペーンを展開したりするなど、主なターゲット層である40~50代の男性だけでなく、新規ユーザーも取り込んでブランドの認知度を高める計画だ。

 キリンビールの山形光晴・マーケティング部長は、「今回の刷新は継続的改善。(本麒麟を)ビールだと思って飲んでいたら新ジャンルだったという声もある。ブランドの認知度はまだ50%なので、サンプリング施策などで新規ユーザーにも訴えたい」と話した。

●ニーズに合わせて多角化する金麦

 一方、サントリービールも19年1月に「金麦」を刷新。実に13年ぶりに中身・パッケージなどをリニューアルした。中身は過去最大量の麦芽を使用し、より麦のうまみが感じられるという。パッケージについては、缶の裏面に手書き風のメッセージをプリントし、今回の刷新の狙いを文章で伝えている。

 2月26日には、新テレビCMの発表会で続投の檀れいに加え、木村拓哉を新たに起用することを明らかにした。今や専業主婦世帯のほぼ倍となった30~40代の共働き世帯をメインターゲットに据える。ちなみに金麦の新発売当時(2007年)は、専業主婦世帯と共働き世帯はほぼ同数で、檀れいが夫を支える妻を演じたテレビCMが話題になった。

 また、金麦は他社の新ジャンルと比べて「食卓出現率」が高いことも独自のウェブ調査で明らかになったという。新しい金麦は、食事に合う味わいと飲みやすさを「食卓にふさわしい味」として強調する戦略を採用する。

 サントリービールは金麦ブランドの多角化にも取り組む。金麦のリニューアルに先駆け発売した「金麦<ゴールド・ラガー>」は、ビール好きの40~50代の男性が1日の締めの1杯として楽しめるように飲みごたえ感を強めた。金麦<ゴールド・ラガー>は、発売から1カ月足らずで出荷量は100万ケースを超えた。

 サントリービールのマーケティング本部長の和田龍夫・執行役員は、「新ジャンルにおける消費者は流動的で、ニーズも多様化している。もともと新ジャンルは食事に合う飲みやすさが重視されていたが、よりビールに近い味を求める消費者が増えた。少しカニバリ(ゼーション)もあるが、それぞれに求めるニーズが違う」と話す。

 キリンビール、サントリービール以外の大手も新ジャンルの拡販に取り組んでいる。アサヒビールは、19年1月にキレと飲みごたえに特化した「アサヒ 極上<キレ味>」を発売。サッポロビールも、4月に「サッポロ 本格辛口」を発売する。本麒麟のヒットが呼び水となって、19年の新ジャンルは戦国時代となりそうだ。

 ビール・発泡酒・新ジャンル、すべてのビール類飲料の酒税が同一になる2026年に向けて、2020年から段階的に新ジャンルが増税される。値上がりを控え、さらに19年10月の消費税増税を睨み、各社のプロモーションはますます熱気を帯びてくるだろう。

北川 聖恵

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