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ゲーテッド・コミュニティの実態に迫り、その“可能性”を探るvol.2

3/19(火) 8:03配信

Meiji.net

ゲーテッド・コミュニティの実態に迫り、その“可能性”を探るvol.2

菊地 端夫(明治大学 経営学部 准教授)

近年、アメリカなどで増えているゲーテッド・コミュニティは、日本では、富裕層が集まって住む地域をフェンスなどで囲い、社会と隔絶したコミュニティと批判的に捉えられがちです。しかし、むしろ、これからの日本社会に必要なエリア・マネジメントのスタイルのひとつであるというのです。ゲーテッド・コミュニティの本質とは何なのか、そして、そこにはどんな可能性があるのでしょう。

◇ゲーテッド・コミュニティには、これからの日本社会を考えるヒントがある

しかし、ゲーテッド・コミュニティの実態はそれだけではありません。

実は、ゲーテッド・コミュニティの多くは都市部ではなく、郊外につくられています。

アメリカの社会階層の構造は、都市と郊外で大きく分れます。また、アメリカには日本でいう市町村が存在しない地域がたくさんあります。

そういった地域は、日本でいう都道府県が直接行政を行っているため、きめ細かいサービスは難しくなってしまうのです。

そこで、ゲーテッド・コミュニティには、そうした地方自治体が担うサービスの領域を、自分たちでマネジメントする自治機能があるのです。もともとアメリカは、Home Owners Association(住宅所有者組合)という、日本でいうマンションの管理組合のような組織の力が強いのですが、ゲーテッド・コミュニティでは、住民たちからの管理費を基に、コミュニティ内のゴミ収集、道路や公園、プールなどの共有施設の管理を行っています。

その活動は、時に私的政府(Private Government)と呼ばれています。

実は、日本では、ゲーテッド・コミュニティをつくることは、建築基準法上できません。

住宅地は原則、「道路」に接道していなくてはいけないと規定されているからです。

また、使用料の安い市民プールや市民体育館、市民テニスコートを誰もが気兼ねなく利用できる日本では、ゲーテッド・コミュニティの仕組みにも学ぶことは少ないように思えます。

しかし、少子高齢化、低成長時代に入った日本で、いままでのように様々なサービスや管理を全て行政に任せていては、財政難によって、質的にも量的にも持続可能ではなくなってきます。

そこで、官だけでなく、企業やNPOなど多様な民が一体となって、住民サービスや地域の価値を高める様々な活動を起こしていくエリア・マネジメントが議論されています。

ゲーテッド・コミュニティには、そうしたエリア・マネジメントを考える上で貴重なヒントがあるのです。

※取材日:2017年7月

次回:私的政府と公的政府領域の交錯による価値創造(3月20日8時公開予定)

菊地 端夫(明治大学 経営学部 准教授)

最終更新:3/22(金) 16:24
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