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南極限定「エメラルド氷山」の色の謎、ついに解明か

3/19(火) 17:37配信

ナショナル ジオグラフィック日本版

100年来の謎、2色の組み合わせによる可能性

 地球の極地で見られる氷山の色は、ほとんどの場合、白から青だ。しかし、利用できるものは何でも使う芸術家のように、自然は鮮やかな緑色の氷山を作り出すことがある。

ギャラリー:南極のエメラルド氷山 写真5点

 このエメラルドグリーンの氷山は、南極でしか見られない。謎めいたエメラルド色の氷塊についての科学文献は数多く、100年以上前の報告もある。それでも、色の原因をきちんと説明したものはこれまでなかったが、この謎をついに解明したかもしれない研究結果が、2019年2月7日付けの学術誌「Journal of Geophysical Research: Oceans」オンライン版に発表された。

 今回の研究によると、この珍しい緑色は、2つの異なるプロセスが合わさった結果だという。まず、南極海に突き出た棚氷の底で、気泡のない氷が形成されること。同時に、黄赤色の南極大陸の土が、棚氷によって南極海に運ばれなければならない。

「まるで、青と黄色の絵の具を混ぜて緑色を作るということを、南極大陸がやっているかのようです」と英リバプール大学の雪氷学者ジェームズ・リー氏は話す。なお同氏は、今回の研究には関わっていない。

なぜ氷山は青く見えるのか

 今回の論文の著者で、長年の南極愛好家でもある米ワシントン大学の名誉教授のスティーブン・ウォーレン氏によると、米国のジャーナリストの多くは、この珍しい氷山を「エメラルド氷山」と呼ぶという。おそらく、英国の詩人コールリッジが1798年に発表した叙事詩「老水夫行」で水夫が南極で見たものを評した一節「氷は、帆柱ほども高く、エメラルドのような緑だった」が念頭にあるのだろう。一方、南極海でこの奇妙な氷山をよく目撃する科学者は、「ヒスイ氷山」と呼ぶ。

 その名が何であれ、氷山の色は、物理的・化学的性質と何らかの関係があるに違いない、と科学者は考えていた。氷河の氷は、青みがかる傾向がある。波長の長い赤い光は氷に吸収され、私たちの目には残った波長の短い青い光が散乱されて見えるからだ。

 しかし、氷に気泡が含まれていると、氷中を進む光の方向が頻繁に変化するため、光は氷の中をあまり移動することなく表面から出てきやすくなる。すると光の吸収が減り、氷は白っぽく見える。対照的に、南極の一部の場所では、高圧下で氷ができるため、気泡は一切含まれない。すると、光が氷中を長く進み、私たちの目には、信じられないほど澄んだ鮮やかな青に映る。

 多くの報告によると、緑の氷山も驚くほど透き通って見えるという。つまり、気泡が含まれていないということだ。この観点が、謎を解く手がかりとなった。

 南極の氷が解けていることは非常に心配だが、海水が凍って棚氷の下に厚い海氷の層を形成することもある。地表でできる氷と異なり、高圧下でできるこの海氷は、結果として気泡のない氷になりやすい。

 次に、その澄んだ鮮やかな緑が作り出されるプロセスを説明しなければならない。氷山自体の形成プロセスは、ウォーレン氏の研究チームが南極東部のアメリー棚氷から採取したコアサンプルのおかげで、1980年代にはほぼ確かめられていた。しかしながら、緑の着色メカニズムは謎のままだった。

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