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なぜ創業87年の電線メーカーは「キャビア作り」を始めたのか? 老舗中小企業の生存戦略

3/19(火) 15:31配信

HARBOR BUSINESS Online

 創業87年の歴史を誇る電線メーカー(本社・東京都大田区)、金子コードが2017年からキャビアの販売を開始し、食品界の間で話題を呼んでいる。

 2月に東京ビッグサイトで開催された「国際ホテル・レストラン・ショー」や3月5日から幕張メッセで開催された「FOODEXJAPAN2019」に「HALCAVIAR(ハル・キャビア)」のブランド名でブースを出展。一流レストランのシェフなどの料理人らを含めた食品業界からも高い評価を得たという。いったいなぜ、大田区の電線を作っていた製造業が、本業とは縁のなさそうなキャビアづくりに乗り出したのか。同社3代目社長の金子智樹氏にその理由を聞いた。

◆「”本物”のキャビアは驚くほど旨い」

「日本人に本当においしいキャビアの味を知ってほしい。そんな思いでキャビア事業を始めました」

 金子コード3代目社長、金子智樹社長はそう語る。

 キャビアといえば、世界三大珍味の一つ。チョウザメの卵を加工した高級食材だ。日本人の多くは、瓶詰め加工された黒い粒々を思い出す人も多いだろう。

 しかし採れたてのキャビアの色は透明感のあるグレーやモスグリーンをしており、原産国ではキャビア本来の味が楽しめるよう低い塩分(3~5%)で処理され、フレッシュな状態で食されている。

 だがフレッシュなキャビアは約3週間しか保存できない。そのため日本には輸出されず、したがって日本国内では本来のおいしいキャビアにお目にかかれないのだ。

 日本に海外から入ってくるキャビアは、長期保存が効くよう低音殺菌処理が施されていたり、塩漬処理がなされたものだ。塩分濃度が高いため(6~10%)、キャビア本来の味は消えてしまっている。

 そこで金子コードは、そんな日本人のために、原産国に負けないフレッシュなキャビアを提供しようとチョウザメの養殖に乗り出したというのである。それにしてもなぜ電線メーカーが、キャビア作りだったのか。

◆三代目社長の道楽とは言わせない

 同社の創業は1932年。金子社長の祖父が電話機用の電線を開発し、生産を始めたのが始まりだ。戦後の電話機普及の波に乗り、事業は成長。電電公社に納入される電線の製造認可を得て、事業を拡大する。電話機の「くるくる」(カールコード)などを作っていたのだから、その成長率たるやすさまじいものだった。その後、電話機製造の主役の座が家電メーカーに移ると、医療用カテーテルチューブを新たに開発。現在、供給量で国内トップだ。

 年間売上高は45.5億円。浜松に工場があるほか、中国の上海に営業本部を置き、蘇州に製造工場を持つ。社員数は317人。社名の通り、「コード」の製造を主体に成長を遂げてきた優良企業だ。

 そんな長い歴史を持つ大田区の製造メーカーがいったいなぜ、キャビアなのか。事前情報によると、金子社長は青山学院大学卒で大のワイン好きだという。これまでに世界のワインを飲み歩き、2013年には自らソムリエの資格を取得。

 もしや単なる道楽なのか。ストレートに尋ねたところ、金子社長はきっぱりと否定した。

「道楽でやっているんだろうという人もいますが、私はこの事業を、社運を賭けた新規事業として真剣に取り組んでいるんです」

◆コードレス化で創業以来の電線事業が危機に

 金子社長が3代目社長に就任したのは2005年。38歳の時だ。当時、会社の業績はどん底だった。というのも、携帯電話を筆頭に電話機が「コードレス」化し始めたのだから大打撃。普及で固定電話機主力の電線事業は低迷していた。その後、苦境を救うことになる医療用カテーテル事業も販売がスタートしたばかりで、大した売上もなかった。そんな中で銀行からの貸し剥がしに合い、事業は困窮を極めたという。

「再び会社を持ち直せたのは、父が苦労しながらもカテーテル事業を立ち上げたことと、中国にケーブルの生産拠点を作ってくれていたおかげでした。もしも父親がリスクを恐れて何もしていなければ、今の金子コードはなかったと思います。当時は『見込みのない異分野の開発などやめろ』と随分、社内で反対されたと聞いていますが、あの時よく決断してくれたとつくづく思います」

 医療用カテーテルを開発販売するメディカル事業が黒字化するまでには10年の歳月を要したという。苦労しながらも新しいものを開発して事業を起こし、しっかり育てるのが金子コードのDNAだと、金子社長は言いたいようだ。

 カテーテル事業も軌道に乗ったが、かつての苦境を知っている金子社長は、新規事業を探すプロジェクトをスタートさせる。2014年のことだ。

 「いままでやっていた分野から」ではなく、「まったく新しい事業」を、すなわち、「0から1を作る」事業を開拓するため「ゼロワンプロジェクト」と名付けられた。そのけん引役となったのは、この会社に根づく開発スピリッツを若手に継承したいと望む、40代の幹部陣だったという。

 金子社長がまず白羽の矢を立てたのが、電線部の部長として電線事業を統括していた責任者だ。 

「その男性幹部社員には、時間もお金も心配しなくていいから、有望な新規事業の芽を世界中から集めてきてくれと頼みました」

◆「10年かかる事業は大手は手を出さない」

 事業アイデアを探す上で、以下の2つの条件を提示したという。

①これまでの事業の延長線上にないもの。

②事業を作るのに最低10年がかかるもの。

 ①は、過去の事業から発想してしまうと視野が狭くなってしまう懸念からだ。②は、簡単に他社にまねされないためだったという。

「中小企業が苦労して作った市場に大企業が後から入ってきてさらってしまうのはお決まりのパターンです。簡単にまねされないよう、黒字化するまでに10年はかかる事業を起こしたかったんです」

 金子社長は大企業の経営者の在任期間を平均6.2年であることを知っていて、それ以上かかる事業を想定していたという。

 その幹部社員は社長からの特命を受け、アジア放浪の旅に出る。その途中で、うなぎの養殖や農業の可能性などの報告を金子社長に届けた。

「彼から事業案が続々と入ってくる中で、少しずつ食品がよさそうだと、領域を絞っていきました。世界の人口が爆発的に増加している中、食糧自給率が低いこの島国に、食の安定をもたらすビジネスを起こすことは意義のあることだと考えるようになっていったんです」

◆事業計画なしで飛び込んだキャビア養殖の世界

 ちょうどその頃、ワイン好きだった金子社長がワインのソムリエの資格を取得。ワイナリーを手がけたいと思うようになり、海外視察を重ねていた。

「しかし理想のワイナリーには出会えませんでした。そこで発想を転換して、ワインやシャンパンに合うキャビアはどうかと考えたのがことの発端でした。例えばフランスなどヨーロッパで食べるキャビアは本当においしいんですよ。ところが日本でも食べたいと思ってデパートの地下で探してみても、一流レストランに行っても、あのヨーロッパで食べたキャビアには出合えないんです。そこで、日本でおいしいキャビアが食べられるよう、キャビアの生産をしてはどうかと思ったんです」

 ちょうど特命幹部からウナギの養殖のアイデアが出てきた頃、金子社長は「キャビアはどうだろうか」と特命幹部に持ちかけたのだ。その時、彼は「キャビアですか。ちょっと調べてみます」と即答したという。

 数日後、次に社長室を訪れた時、彼は分厚い資料を抱えていた。

「社長、キャビアは面白いです。やりましょう!といって資料を見せてきたんですね。それを聞いて、じゃあ第一弾として進めてみてくれ、ということになりました」

 特命幹部はたった一人で、さっそくチョウザメの研究を開始。それから間もなく、再び血相を変えて社長室を訪れた。

「チョウザメの稚魚の販売は1年のうち、6月にしか行われないことがわかりました。社長の性格を考えると来年まで待てませんよね、と言うんです」

 事業計画も何もない段階で、チョウザメを買いつけることにはためらいもあったという金子社長。だが、そこで事業の進捗を1年も足踏みさせるわけにはいかない。

「そうだな。お金は出すから、進めてくれ」と金子社長はGOサインを出した。とはいえチョウザメの稚魚をどこから仕入れればいいか、社内のだれもわからない。しかもチョウザメは細かく分類すれば、27種類もあり、それぞれが特徴を持つ。卵が成熟するまでの期間も違う。

 暗中摸索の状態のまま手を尽くして購買ルートを探し出し、チョウザメの稚魚1000匹を発注したのだ。

◆メーカーで培った技術が生かせたチョウザメ養殖!?

 発注したのはいいが、育てる施設がない。養殖場施設の確保が急務となった。それまでの勉強の成果から、養殖技術に関してはウナギほど難しいものではないことはわかっていた。キャビアの味を大きく左右するのは水であり、水がよければキャビアはおいしさを増すこともわかってくる。

 さっそく国内の養殖業者の視察に動く。全国各地の施設を訪ねて目にしたのは、水質や温度を徹底管理する人工的な施設だった。

「インフラや人の生命に関わるものづくりの中で培ってきた私たちの厳しい品質管理と効率化のノウハウを、養殖事業には生かせることがわかってきました」

 もう一つ、金子社長には確信があったという。それは世界中の最高品質のキャビアの味を知っているということだ。

「製造業目線でキャビアがどうやったら美味しくなるかを徹底的に追求しました。最高においしいキャビアをつくるために、最高の水を用意し、自然環境に近い場所でゆったりと育てられる施設を整えたいと考えたんです」

 それから全国の水質と環境がよさそうな場所を探しては、各地で水を採取し、検査機関に水質調査を依頼。その中から選んだのが、浜松市天竜区春野町だった。

「春野町の水は非常に綺麗なんです。南アルプスで育まれた軟水で、飲料としてもおいしい。ここでチョウザメを育てれば絶対においしいキャビアが採れると確信しました」

◆キャビア事業を決めた経営判断

 金子社長が経営者として、キャビア事業がビジネスとして成立すると感じたポイントがあったという。それはチョウザメ市場に天然ものは出回っていないことだ。

 チョウザメの市場は、ほぼ100%が養殖ものが占めている。というのもチョウザメは乱獲によって絶滅危惧種となっており、天然ものはほとんど手に入らず、ワシントン条約で取引が厳しく制限されているからである。

「鮮魚には天然ものと養殖ものがあり、全般的に味は養殖ものの方がいいじゃないですか。ところが世間では天然もののほうが価値があるとみなされています。私はそれがおかしいと、かねがね思っていました」

 養殖ものは施設と設備を用意し、餌を与え、水質や酸素濃度などを管理しながら多大なコストをかけて育てた魚である。しかも味で勝っている。にもかかわらず、「天然モノはよい」という科学的根拠が希薄なイメージだけで、価格で劣るのが解せない、という。

「もしもチョウザメに天然ものが出回っていて、そのほうが価格が高かったなら、この事業に手を出さなかったでしょう。でもチョウザメは育て方で差がつく、つまり企業努力で勝てるということがわかったので、私たちが取り組む事業にふさわしいと判断しました」

 経営者としてのシビアな見極めによって、取り組むことにしたと金子社長は強調するのだ。

◆当初の大失敗。1000匹の稚魚が1週間で全滅

 発注してから数か月後、チョウザメの稚魚が納品された。

「これ大丈夫か」と金子社長。

「大丈夫です、任せてください。僕はチョウザメを触ったことはありませんが、文献なら山ほど読みました。安心してください」と特命幹部は自信満々だ。

「おお、頼もしいな。そういう自信、俺は好きだぞ。後は任せた!」

「はい!」

 そんなやりとりがあったという。だが数日後に「その後、どうだ?」と連絡入れた時には、「あと6、7匹です……」と意気消沈した声が返ってきたという。結果的に、届いて一週間もしないうちに稚魚は全滅した。

 保険をかけていたおかげで、業者に育てられ少し大きくなった稚魚が納品されることになり、事業は続行できたのだが、苦いスタートとなった。

「しかし稚魚全滅の経験が、結果的によかったんです。なぜならこの事業に欠かせない人が見つかったからです」

 全滅するまでの1週間、何とかしなければという一心で、全国のあらゆる研究機関や養殖業者に連絡を入れたという。「金子コードと申しますが、今チョウザメを育てておりまして……」と手当たり次第に相談を持ち掛けたのだ。

 ほとんどの人がまともに相手にしてくれなかったが、一人だけ「温度は何度ですか」「酸素の量は?」「光に当ててますか?」「餌にカビが生えてませんか?」と親身に応じてくれた人がいたという。

「その人は、大学の研究機関でチョウザメの養殖をした研究した経験を持つ方でした。今はその人がうちの養殖の責任者になっているんです」

 その親身な対応を見込んで、スカウトしたのである。一瞬にして稚魚を全滅したことで新規事業に欠かせない「人」を見つけることができたのだ。

◆一過性で終わらないビジネスに育てる

 チョウザメは8、9年をかけて卵を育てる。それだけ長い時間をかけて熟成されるからこそ、栄養豊富でうま味が凝縮されるのだが、その間に死んでしまえばすべての努力が水の泡となる。しかも卵を採れるのは一度きりだ。

 しかも卵を育てるのはメスだけ。全体の半分に過ぎない。1000匹の稚魚のうち採卵できるのは500匹ということになる。だが一定数は死んでしまうため、おおむね300匹程度。生産性はあまり高くないように見える。

 それだけではない。ようやく卵を取り出してみたら味がまずかった、ということも考えられる。だが金子コードでは“1年生(稚魚)から育てたキャビアの味”を知ることはできない。卵が育つにはまだ少なとも4、5年かかるからだ。だからこそ気になる。うまいのか、それともまずいのか。

「“1年生から育てているチョウザメ”のキャビアの味はまだ確認できていませんが、転校生としてある程度育ったチョウザメを数カ月、生け簀で飼った後に採ったキャビアを食べてみると、これがうまいんです。最高の水で育てると、数か月でも味がよくなることがわかりました」

 同社では、昨年から「HARUNO CAVIAR VALLEY(春野ハルノキャビアヴァレー)」の生け簀で育てたチョウザメからキャビアを採取している。塩分は約3%。熱処理はせず、保存料も一切使用しない。見た目は透明感のあるモスグリーンで、その味は濃厚なバターやチーズのようにクリーミーでうま味の濃い美味しさだとか。

 まだ少量ながら、東京や静岡のホテルやレストランを中心に業務用として販売を開始した。一部の高級レストランでも取り扱われているという。

 だが本格的に量産が始まるのは養殖1年生がようやく一人前になる2023年を予定している。本格スタートした時には、どれほどの売り上げを見込んでいるのだろうか。

「まずは投資した2億円の回収が目標ですが、その後どれほどのビジネスになるのかは未知数です。ただ電線コードやカテーテルに比べて、利益率は格段に高く、成功すれば高収益事業になっていくものと見込んでいます」

 2023年までにいろいろな可能性を模索し、一過性に終わらない根強いビジネスに育てていきたいとしている。

◆キャビア以外にも活用できるチョウザメ

 金子コードでは養殖施設に「HAL LAB(ハルラボ)」という「研究所」との名を冠したゲストハウスを併設している。そこではチョウザメとキャビアに関する講座を開くほか、チョウザメに触れることができ、オリジナルのキャビアを作る体験もできる。最後はチョウザメを使った料理も味わえるという。

「HAL LAB(ハルラボ)には一流のレストランのシェフの方々やホテル関係の方をお招きして、ハルキャビアをご紹介するとともに、参加者に意見をうかがったり、ハルキャビアを使った料理などをご提案いただいたりと、みんなで一緒にハルキャビアを作っているんです」

 世界でとれる100種類以上の塩を用意し、一流の料理人たちにおいしいキャビアを作る工程も提供しているという。

 チョウザメは、捨てるところがないと言われる魚だ。その身はうまく独特の食感がある。ひれにはコラーゲン等がたくさん含まれ、栄養満点の食材としても知られる。皮をなめして、アクセサリーに活用される。

 また美容と健康によい成分が含まれていることでも知られており、金子コードも昨年、チョウザメの成分を含んだ化粧品の製品化にも着手しており、近く発売する予定だという。今後、チョウザメを活用したさまざまな製品を開発して行く方針だという。

◆何もしないことが最大のリスク

 長い時間を要するからこそキャビアには価値があり、高額で取引されるのはわかる。だが、不確定要素が多すぎることは間違いない。これほどリスクの高い分野に挑むことに不安はないのだろうか。

「確かにいろんな方から怖くないのかと聞かれます。しかし時代が大きく変わっている中で、今の収益基盤も明日にも崩れる可能性があるわけですよ。こういう時代にはチャレンジがリスクになるのではなく、何もしないことが本当のリスクなんです」

 金子コードではキャビア事業のほかに取り組んでいる新規事業がある。その一つが人工筋肉の開発だ。

「キャビアはこれまでの延長上にないビジネスですが、人工筋肉は延長線上の開発です。これが完成すればさまざまな用途が考えられますが、人生100年時代を迎えた今、いくつになっても自分の足で歩ける社会を作りたいと私は思っているんです」

 もともと新規事業の成功率は3%程度と言われる。1つでも成功させるには、これはと思うものはどんどんやるべきだと金子社長は言う。

「まず走り出すことです。大切な情報は本気でやる人にしか集まりませんから」

◆ここで世界一のキャビアをつくる

 国内には金子コードが手掛ける前からキャビアづくりを始めた業者が複数ある。だが、金子社長にとって国内事業者をライバルとは見ていない。

「キャビア作りを始めた頃は、国産のキャビアを食べ比べてはどこがおいしいかと気にしていました。しかし今は国産ものは比較の対象にはしていません。海外産のものと国産のものとのレベルの差が圧倒的だからです。私たちが目標にしているのは世界一おいしいキャビアをつくること。世界の原産地のキャビアも越えようとしているのですから、国内に目を奪われているわけにはいきません」

 現在量産化に向けて養殖施設の拡充を図っているところだが、その点については浜松市の支援も受けているという。

「折しも浜松市が少子化で廃校が続く中で、打ち出した廃校利用の地域振興策へ応募したところ、使わなくなったプールを無償で提供してもらえることになったのです。すでに1校を利用させていただいております。今後も同様の廃校利用制度があれば積極的に手を挙げて、チョウザメを増やしていきたいです」

 そんな金子社長にとってもっとも怖いのは自然災害だという。昨年は大型台風に見舞われた春野町一帯が停電。水の供給や自動餌やり機のシステムが一時的にダウンし、肝を冷やした。

「停電時には自動的に施設内バッテリーに切り替わるシステムをすぐに導入しました。自然災害は予測できないだけに予断を許しません。これまでの努力が水の泡にならないように、自然災害に対しては万全の対策をしていきたいと思っています」

 2014年のスタート以来、金子コードでは毎年、チョウザメの数を増やしており、現在は1万6000匹程度になっているという。2023年までには現在の3、4倍にも増やす計画だ。

 そんな同社にとって、いずれ「完全養殖」を目指すことは視野に入れているという。完全養殖とは、生け簀のチョウザメから採った卵を孵化させて育てるというサイクルをつくることだ。そうなればコストは抑えられ、増殖体制が整う。

 すでに技術的にはめどが立っているというが、そのための人や施設を整えるのは事業が始まってから考える方針だ。

 金子社長は「HALCAVIAR(ハルキャビア)」で春野町を、豊かな食文化を日本に築く拠点とするとともに、世界に知られるキャビアの名産地にしたいと意気込む。

 一見、趣味的で無謀な掛けに見えながらも、実は大まじめに取り組んでいる金子コードのキャビアづくり。3代目社長の挑戦は続く。

<取材・文/大島七々三 撮影・菊竹規 写真提供/金子コード>

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最終更新:3/19(火) 22:36
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