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いきなり!ステーキ、いきなり拡大し失速

3/19(火) 17:00配信

日経ビジネス

 いきなり拡大したツケが回ってきたのか――。

 肉の量り売り形式で人気を博したレストラン「いきなり!ステーキ」が失速している。運営するペッパーフードサービスが14日に発表した2月の既存店売上高は、前年同月比75.1%にまで落ち込んだ。これで前年割れは2018年4月から11カ月連続となった。

 いきなり!ステーキは13年に1号店を銀座にオープンし、肉を1グラム単位で量り売りしたり、立食形式で回転率を高めることで手ごろな価格で商品を提供したりする、新しいコンセプトで人気を集めてきた。

 昨年2月は多くのテレビ番組で取り上げられたことなどから、既存店売上高が前年同月比117.0%と好調だった。19年2月の数字が落ち込んだのは、その反動でもある。

 しかし、問題はそれだけではなさそうだ。低迷の本質的な要因は別のところにある。成長のスピードを重視するあまり、経営戦略に様々なほころびが生じているのだ。

 17年末に186あった店舗は、18年末には386店に拡大。わずか1年で店舗数を倍増させた。それによって、「近隣の店同士が客を取り合うカニバリゼーション(自社競合)を起こし、客数の低下を招いた」(同社)。

 特に売り上げ低迷が深刻なのは、郊外の幹線道路沿いのロードサイド店だという。このところ同社は、いきなり!ステーキの出店エリアを地方に大きく広げてきた。それぞれの地域の1店目は順調に集客できるものの、「2番店、3番店は“新鮮味”を感じてもらいにくいため、業績が伸び悩んだ」(同社)。

 背景には、値上げの影響もある。食材の調達価格や人件費の高騰などを受けて、いきなり!ステーキは度々値上げをしてきた。立ち上げた13年時点と比べると、1グラム当たり2円程度高くなっている。来店客は平均で300グラム食べるため、およそ600円の負担増となり、「ステーキが手頃な値段で食べられる」という価格優位性が薄れてしまった。都心部に比べ物価が安い地方の利用者は、これに敏感に反応した。

 急拡大によって、アルバイト店員やそれを指導する店長の教育が追い付かず、飲食店の競争力の根幹であるQSC(クオリティー、サービス、クリンリネス)にも乱れが生じている。「無理な急成長で店のオペレーションが乱れ、ブランドを毀損した結果、市場から姿を消した外食チェーンは少なくない」と大手証券アナリストは懸念する。

 複数の店舗を監督指導する本部のスーパーバイザーは、2~3年の店長経験を積んだ人材を充てるのが通例だが、店舗の急増に対応するため、「半年から1年でスーパーバイザーに昇格させている」(同社)のが実情だ。事業拡大のペースに人材育成が追い付いていないことが、現場力の低下を招いた。

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最終更新:3/19(火) 17:00
日経ビジネス

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