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中学生不登校の「深層心理」

3/20(水) 15:01配信

nippon.com

泉谷 閑示

校内暴力が社会問題化した1980年代と比べると、最近の中学校は一見静かだ。その代わりに深刻化しているのが、不登校や陰湿ないじめだ。「暴力」から「不登校」へ、中学生の「抵抗」のありようが変化した背景を精神科医が読み解く。

より明らかになった不登校の実態

子どもたちの不登校の問題は、依然として大きな社会問題の一つである。日本財団が2018年に実施した「不登校傾向にある子どもの実態調査」(2018.12.12)は、この問題を考える上で重要な手掛かりを与えるものになっている。

これは、従来の文部科学省による教育委員会を通じた学校側への調査と異なり、インターネットを利用し、子どもたち自身に対して直接調査したものである。

この調査では、文科省が不登校と定義する「年間30日以上学校に行っていない」という限定を超えて、広く実態についても明らかにされている。不登校の定義未満や教室外登校、部分登校、仮面登校など、これまでの統計調査では拾い上げられてこなかった「不登校予備軍」とでも言うべき子どもたちも含まれているのだ。さらに、その割合は狭義の11万人といわれる不登校の約3倍にも及んでいることがわかった。これにより、不登校の実態は、従来考えられていたよりもはるかに深刻であることが浮き彫りになった。

「中学校に行きたくない理由」についての問いに対する答えから、今までの統計にはくみ上げられなかった、子どもたちの学校への複雑な思いの実態も読み取れる。本稿では、特にこの「中学校に行きたくない理由」を分析することによって、現代の中学生の心理的状態について考察してみたい。

不登校の理由:5分類

「中学校に行きたくない理由」として挙げられている項目は多岐にわたるが、これを大別すると、以下のように5つのカテゴリーに集約される。

A:抑圧カテゴリー・・・「朝、起きられない」「疲れる」「学校に行こうとすると、体調が悪くなる」「自分でもよくわからない」

少なくとも本人の意識では自覚的に「行きたくない」と思っているわけではなく、起きられない(起床困難)や疲労感、体調不良などによって、結果的に「行けなく」なってしまっているもの。

B:対人関係カテゴリー・・・「友達とうまくいかない」「先生とうまくいかない/頼れない」「学校は居心地が悪い」

いわゆるいじめ問題などもその中核に含まれているが、より漠然とした「居心地の悪さ」までをも含む。

C:学業問題カテゴリー・・・「授業がよくわからない・ついていけない」「小学校の時と比べて、良い成績が取れない」「テストを受けたくない」

学業についていけない問題が主。

D:実存問題カテゴリー・・・「学校に行く意味がわからない」「小学校の時と比べて、つまらない」

「学校に行く意味」に納得がいっておらず、学校が「つまらない」という印象を抱く。学校に行く「意味」を感じられないでいる。

E:現実問題カテゴリー・・・「校則など学校の決まりが嫌だ」「部活がハード」

それぞれの学校の校則や所属する部活の厳しさや制約の度合いによって、大きく変動する項目。

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最終更新:3/20(水) 15:01
nippon.com

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