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ニュージーランドの銃乱射で“悪用”された「インターネットの力」と、マスメディアの罪

3/20(水) 19:10配信

WIRED.jp

頻発する恐るべき銃乱射事件のあとに、儀式のように繰り返される一連の手続きがある。マスメディアが容疑者のソーシャルメディアのアカウントやオンラインでの投稿をつぎはぎに組み合わせて、動機の解明を試みるのだ。この儀式は、こうした投稿などがネットから削除されてしまう前に迅速に行われなけれならない。

テクノロジーによって銃を「安全」にしても、乱射事件はなくならない

ニュースメディアなどが血眼になってこうした情報を集めるのは、犯行に及ぶまでの容疑者の思考を再現できるかもしれないと考えるからだ。究極的には誰も知ることのできない「なぜ?」という問いに対する答えに、少しでも近づけるのではないかと期待するのである。

ただ、そこには予期せぬ結果をもたらしかねない危険な罠が潜んでいる。3月15日(米国時間)にニュージーランドのクライストチャーチにあるモスク2カ所で起きた銃乱射事件では、これまでに50人の死亡が確認されたが、事件直後からほとんど自動的に、このオンラインでの情報収集が始まった。

しかし、今回は状況が少し違った。ネットを掘り起こすまでもなく、容疑者の男が世界に向け、犯行を決意した理由を大々的に発信していたからだ。

拡散した容疑者の犯行予告と実況動画

男はまず事件を起こす前に、Twitterとオンライン掲示板の「8chan」で、モスクを襲撃すると予告した。そこにはFecebookのアカウントへのリンクが貼られており、男は犯行中にリンク先のページで17分間の「生中継」まで実施したのだ。

また、74ページに及ぶ犯行声明がアップロードされた。メディアが容疑者の「マニフェスト」として報じたこの文書には、ネットに散らばるさまざまな有害なイデオロギーへの言及などが散りばめられている。

8chanに投稿されたリンクには、以下のようなリクエストが添えられていた。

「自分が書いた文章へのリンクを貼っておく。このメッセージがネットのミームになるように拡散して、いつもやっているようにクソみたいな書き込みを続けてくれ」

インターネットは十分にその役割を果たした。犯行の様子を撮影したおぞましい動画は、各プラットフォームがコンテンツ削除といった対応に動く前に、またたく間に世界中に拡散していった。

事件が起きて以来、専門家やアナリスト、ネットの住民などがこのマニフェストの一言一句を分析し、オンラインの世界における男の存在がどのようなものであったのか解釈しようと議論を続けている。そして、極右のキーワードが羅列された迷路のような状況に落ち込んでいるのだ。

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最終更新:3/20(水) 19:10
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