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内田彩が築き上げてきた“当たり前”という財産 “Take it easy”を掲げた一夜を振り返る

3/20(水) 18:08配信

リアルサウンド

内田彩「みんなとのSignは、笑顔かなって思います」

 次に、すべての楽曲がこれまでのアーティスト活動はもちろん、内田の人生や生き様を抜きに語れないことも大きな特徴である。その象徴といえるのが、本編終盤の「Ordinary」。ほか、「SUMILE SMILE」と「Say Goodbye, Say Hello」だ。

 これらの楽曲はすべて、2017年9月発売のアルバム『ICECREAM GIRL』収録曲。2016年春から患っていたという声帯結節の手術を乗り越え、〈当たり前じゃなくなって 当たり前に気付いた〉と歌う「Ordinary」や、時には涙さえ受け入れて生きていく強さを描いた「SUMILE SMILE」を聴けば、リスナーは内田との思い出を自ずと呼び起こされる。たとえ彼女の歌声を初めて聴いたとしても、後者の〈笑顔をつくって、 ごまかすなんてできないね きっと〉というラインなどには、そっと背中を押されることだろう。何より「SUMILE SMILE」の泣きメロギターリフは、ずるい。

 最後に、数年前までの内田は声優アーティストとして、様々な楽曲の役柄を演じることを強みとしてきた。その一方、現在の彼女はありのままの表情で、会場の誰よりもライブの時間を楽しんでいる印象が強い。誰かを演じてきた声優の彼女が、誰を演じるでもなくアーティストとして最大に輝く光景が、そこにはある。ライブ終盤には「みんなとのSignは、笑顔かなって思います。顔を見合わせて、笑顔を確かめ合えるのが、私にとってはすごく大事な時間です」とも語られた。彼女の“Take it easy”なスタンスには、ファンの存在が欠かせないようだ。

 ジャンルを越境したライブアレンジや、自身の活動における文脈と切り離せない数々の良曲、そして自然と笑顔が溢れてしまうファンとの優しい時間。そのすべての担い手であるアーティストーー内田彩になれるのは、誰でもない内田彩だけである。

青木皓太

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最終更新:3/20(水) 18:08
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